鞍岡祇園神楽一覧表
番号 名称 人数 命付(みことづけ) 採物 (とりもの) 舞の内容、場所、唱儀
1 地神楽 4人舞 八十禍津日神(やそまがつひのかみ)
大禍津日神(おおまがつひのかみ)
神直毘神(かむなおびのかみ)
大直毘神(おおなおびのかみ)
舞衣
鳥帽子

神鎮の舞 場所、高天原
唱儀
1.小夜中に綾の風こそ吹き来たり、神風なればしなや神風。
2.抑々(そもそも)祇園牛頭(ごづ)天皇の御本地を奥深くたずぬれば、土の帝に閉じこもらせう給(たも)うこれなり。
3.川龍(かりゅう)の乙姫は、八年に八人のお子の契りをこめさせ給うこれなり。
4.太郎は月神、次郎は日神(にちがみ)、三郎の王子は須佐之男命と拝まれ給うこれなり。
5.四郎の王子は、丹平(たんびら)天皇、五郎の王子は、牛頭天皇、六郎の王子は六自在天神とこそ拝まれ給うこれなり。
6.七郎の王子は矢草の七郎灰高(はいたか)天神、八郎の王子は八葉殿居間尊(はちようでんいるまのみこと)と拝まれ給うこれなり。
7.仰ぎ願くば四人の祈(ねぎ)が静かに遊びを参らする御唱儀これなり。
2 場神楽 4人舞 大国主命(おおくにぬしのみこと)
事代主神(ことしろぬしのかみ)
少名毘古那神(すくなひこなのかみ)
建御名方神(たけみなかたのかみ)
舞衣
毛笠

神降ろしの舞 場所、出雲
祈歌
1.小夜中に綾の風こそ吹き来たり、神風なればしなや神風。
2.注連(しめ)引けば、ここも高天の原なるぞ、集まり給え、四方の神々。
3.君が代の、久しかるべき、ためしには、かねてぞ嬉しき、住吉の松
3 地荒神 1人舞 猿田彦神(さるたひこのかみ) 千早
毛笠
神面

猿田彦の舞 場所、おのころ島
4 東征 4人舞 高御産巣日神(たかみむすびのかみ)
闇淤加美神(くらおかみのかみ)
天之水分神(あめのみくまりのかみ)
国之水分神(くにのみくまりのかみ)
舞衣
毛笠

水を呼び降ろす舞 場所、高天原
祈歌
1.小夜中に綾の風こそ吹き来たり、神風なればしなや神風。
2.注連引けば、ここも高天の原なるぞ、集まり給え、四方の神々。
3.君が代の、久しかるべき、ためしには、かねてぞ嬉しき、住吉の松
5 浮江 2人舞 大国主命(おおくにぬしのみこと)
少名毘古那神(すくなひこなのかみ)
舞衣
毛笠

国つくりの舞 場所、出雲 祈歌 1.小夜中に綾の風こそ吹き来たり、神風なればしなや神風。
幣神事 2人舞 神倭伊波礼毘古神(かむやまといわれひこのかみ)
五ツ瀬神(いつつせのかみ)
舞衣
毛笠

国つくりの舞 場所、出雲
7 四人鞭 4人舞 布刀玉命(ふとたまのみこと)
天宇受賣命(あめのうづめのみこと)
伊斯許理度賣命(いしこりどめのみこと)
五ツ瀬命(いつつせのみこと)
舞衣
毛笠

五ツ瀬命の天降りの舞 場所、高天原
杉登り < 2人舞 猿田彦神(さるたひこのかみ)
天宇受賣神(あめのうづめのかみ)
舞衣
毛笠

場所、高天原
9 岩くずし 2人舞 須佐之男神(すさのおのかみ)
須賀八耳神(すがのやつみみのかみ)
鉢巻


太刀
魔除けの舞 場所、高千穂の峰
唱儀
1.小夜中に綾の風こそ吹き来たり、神風なればしなや神風。
2.抑々神子宝剣、内待所に依りて神子とは、来白天魔王の麿の尾の中にありたる物これなり。
3.抑々天神七代、地神五代と申す内、今、出雲の国、築の宮、素盞鳴尊八岐の大蛇を退治給うこれなり。
4.さあれば尾の中に一つの剣あり其の剣、大神宮に納め奉る草那伎の宝剣これなり。
5.此の剣、今尾張の国熱田神宮に納め奉る物これなり。
6.仰ぎ願くば四人の祈が静かに遊びを参らする御正儀これなり。
10 地固め 4人舞 大国主命(おおくにぬしのみこと)
事代主神(ことしろぬしのかみ)
少名毘古那神(すくなひこなのかみ)
建御名方神(たけみなかたのかみ)
鉢巻


太刀
悪魔除・国代りの舞 場所、出雲
11 弓神楽 2人舞 経津主神(ふつぬしのかみ)
建御雷神(たけみかづちのかみ)
舞衣
鳥帽子


弓矢
悪魔除の舞 場所、高天原
唱儀
1.小夜中に、綾の風こそ、吹き来たり、神風なれば、しなや神風。
2.抑々弓箭の始と申し奉るは往古神代に武御雷神,経津主神、より始まり、今の世まで伝え給うなり。
3.さあれば弓は高天原に立木一本切り取り、弓を作らせ給うこれなり。
4.さあれば天は二神嶽に立ちし竹を切り取り十五束三伏の矢を作らせ給うものこれなり。
5.抑々今日此の処にて弓箭の舞を納むれば如何なる悪魔災難あるとも弓箭の力にて四方に払い除き給うなり。
6.仰ぎ願くば二人の祈が静かに遊びを参らする御唱儀これなり。
12 素神舞 1人舞 須佐之男命(すさのおのみこと) 千早
神面
毛笠

太刀
悪魔除の舞 場所、出雲
13 酒こし神楽 2人舞 足名椎神(あしなづちのかみ)
手名椎神(てなづちのかみ)
千早
神面
毛笠


ショウケ

手拭い
着物
一夜酒つくりの舞 場所、出雲肥の河上
14 八鉢 1人舞 須佐之男命(すさのおのみこと) 千早
裁着袴
神面
毛笠

< 場所、出雲
15 山の神 1人舞 大山津見神(おおやまつみのかみ) 舞衣
天冠
神面

大幣
場所、奈良
16 毘売舞 1人舞 稲田毘賣神(いなだひめのかみ) 舞衣
天冠
神面

大幣
場所、出雲
17 大神神 4人舞 経津主神(ふつぬしのかみ)
武御雷神(たけみかづちのかみ)
倉稲魂神(うかのみたまのかみ)
豊宇気毘賣神(とようけひめのかみ)
< 舞衣
鳥帽子


大幣
場所、伊勢
唱儀
1.小夜中に、綾の風こそ、吹き来たり神風なれば、しなや神風。
2.神明の前に立つとも尊くも静かに拝み参らすものなり。
3.天よりつばさ鳥と申す翼鳥、五つの門に飛び来たり
一つに天月、二つに二月、三つに三月、四つに四月とこそ拝まれ給う。
4.五つに五月とこそ拝まれ給う。
5.もったいなくも尊き天照皇大神の御光で四方の国々を照らせ給うなり。
御方立
今夜の今宵の神々の上とは信あれば徳あり、御祈祷の為とて、混連夕流東方に立ち向かい立ち並び、ゆり上げ、ゆり降ろし、方々を拝み参らする。
ひがみを拝み参らする。
つきがみの拝みを参らする。
(東西南北中央と五方に向いて称すものなり)
18 〆舞 1人舞 布刀玉命(ふとたまのみこと) 千早
毛笠
神面

大幣
注連引きの舞 場所、天岩戸
19 繰下ろし 4人舞 布刀玉命(ふとたまのみこと)
天宇受賣命(あめのうづめのみこと)
伊斯許理度賣命(いしこりどめのみこと)
五ツ瀬命(いつつせのみこと)
舞衣
鳥帽子

引綱
注連引き降ろしの舞 場所、天岩戸
唱儀
1.小夜中に、綾の風こそ、吹き来たり神風なれば、しなや神風。
2.今日この処に注連を立たせ給うは、今日の日月を舞い踊らかすと詳させ給う。
3.抑々上の吹流しをさせ給うは、天の浮叢雲を詳させ給う。
4.抑々上の浮輪に三十三本の幣をさせ給うは、天の三十三尺とこそ拝まれ給う。
5.抑々下の浮輪に二十八本の幣をさせ給うは、地は二十八石とこそ拝まれ給う。
6.抑々前に内宮の棚を付けさせ給うは、天の浮橋を詳させ給う。
7.抑々銭を下させ給うは、月の数、日の数を詳させ給う。
8.抑々前に団子を備えさせ給うは、九萬八界の星の数を詳させ給う。
9.抑々三斗三升三合三勺の米俵を備えさせ給うは、御幣さしとこそ詳させ給う。
10.抑々前に綾布をはえさせ給うは、寿命八界、命永き処を詳させ給う。
11.抑々後に山をつかせ給うは、天の岩戸を詳させ給うなり。
12.仰ぎ願くば四人の祈が静かに遊びを参らする御正儀これなり。
20 二人鞭 2人舞 大国主命(おおくにぬしのみこと)
事代主神(ことしろぬしのかみ)
舞衣
毛笠

国つくりの舞 場所、出雲
21 翁舞 2人舞 足名椎神(あしなづちのかみ)
手名椎神(てなづちのかみ)
千早
毛笠
神面

場所、出雲
22 八雲舞 4人舞 須佐之男命(すさのおのみこと)
稲田毘賣神(いなだひめのかみ)
足名椎神(あしなづちのかみ)
手名椎神(てなづちのかみ)
舞衣
千早
毛笠
神面


太刀
大幣
大蛇退治の舞 場所、出雲
23 猿田彦舞 1人舞 猿田彦神(さるたひこのかみ) 舞衣
千早
毛笠
神面

大榊
道案内の舞 場所、高千穂峰
24 伊勢神楽 1人舞 布刀玉命(ふとたまのみこと) 舞衣
天冠
神面

大幣
天岩戸開き用意の舞 場所、天岩戸
25 御幣 1人舞 布刀玉命(ふとたまのみこと) 舞衣
天冠
神面

大幣
天岩戸開き始めの舞 場所、天岩戸
26 宇受賣舞 1人舞 天宇受賣命(あめのうづめのみこと) 狩衣
天冠
神面


大幣
神楽の起源となる舞 場所、天岩戸
27 柴引き 1人舞 手力男命(たじからおのみこと) 千早
毛笠
神面

天の真榊を根こぎにされる舞
28 戸取り 1人舞 手力男命(たじからおのみこと) 千早
毛笠
神面

岩戸を取り払う舞 場所、天岩戸
29 手力 1人舞 手力男命(たじからおのみこと) 狩衣
毛笠
神面

大幣
手力男命の力強さを表した舞 場所、天岩戸
30 たたら舞 1人舞 手力男命(たじからおのみこと) 狩衣
毛笠
天冠
神面

天照大神お迎えの舞 場所、天岩戸
31 由布舞 1人舞 手力男命(たじからおのみこと) 狩衣
毛笠
天冠
神面

天照大神お迎えの舞 場所、天岩戸
32 舞開き
(拝の舞)
2人舞 天照大神(あまてらすおおかみ)
手力男命(たじからおのみこと)
狩衣
毛笠
天冠
神面

天照大神のお供の舞 場所、天岩戸
舞開きの歌
1.榊葉は、何時の月日に植えそめて、天の岩戸に、口を定むる。
2.岩戸出て、四方の国地も明らかに、しめくぎ縄の、しるしなるらん。
3.うれしさに、我はここにて舞遊ぶ、舞い姿ぞ、開く天の岩戸
4.大神宮の、まします道に綾はえて、にしきとはえて、神はまします。
33 花神楽 4人舞 宇伽御魂神(うかのみたまのかみ)
大国主命
大年神
御年神
鉢巻



御供鉢
五穀を国々に蒔かれる祝いの舞、神楽の終わりに舞う舞 場所、出雲
唱儀
1.小夜中に綾の風こそ吹き来たり神風なれば、しなや神風。
2.西に向いて開く花の色は、赤き花の色にて開き給うこれなり。
3.南に向いて開く花の色は、青き花の色にて開き給うこれなり。
4.北に向いて開く花の色は、白き花の色にて開き給うこれなり。
5.中央に向いて開く花の色は、金に白蒻黄色の色にて開き給うこれなり。

神楽歌
1.小夜中に、綾の風こそ、吹き来たり神風なれば、しなや神風。
2.いさぎよき、浜の広瀬で、身を清め朝日に向かい、神を念ずる。
3.御幣さす、もばの山に、わけ行けば御幣の主とは、我ぞこそなる。
4.高千穂の、花は山田舎、もとむらに友がいなや、花の落ちかた。
5.うぐいすの、梅の小枝に、昼寝して花の咲くのを、夢にこそ見る。
6.日向なる、二神山の、ふもとにてちちが岩屋に、小君まします。
7.昼寝して、姿は見えず、石とかね打ち出したるや、かくとひの神。
8.今日の、氏子の御祈祷は、さおしかよ黄金の箱に、納めまします。
9.君が代の、久しかるべき、ためしにはかねてぞ嬉しき、住吉の松。
10.此の処、四方念じて、拝むにはもろしめ給え、御幣とどまる。
11.舞いおろす、中のや正面、舞い遊ぶ今に正面、舞い遊ぶ。
12.此の処、西や東に立ち別れ今に入れ来る、天の香具山。
13.おさめても、千代の御神楽、舞い遊ぶおもしろかれや、末はめでたき。
14.注連引けば、ここも高天の原なるぞ集まり給え、四方の神々。
15.みな神は、御幣と神鈴に、おどろきて荒ぶる神は、おこしがたなき。
16.花は散る、紅葉は落ちる、鞍掛けの位はいつも、有明の月。
17.吹けば行く、吹かねば行かぬ、村雲の風にまかせて、身こそ安かれ。
18.高山を、通りて聞けば、面白しいつも絶えぬぞ、御神楽の音
19.白青の、にぎてを枝に、祈りかけて舞うてで開く、天の岩戸を。
20.谷は八つ、峰は九つ、戸は一つ鬼の住家は、あららぎの里。
21.いさぎよき、浜の馬場瀬に、みそぎして今ぞ清むる、我が身なりけり。

神々の系譜
八十禍津日神(やそまがつひのかみ)
八十(やそ)は多くの意。禍(まが)は祝詞の悪(まが)と同じく黄泉(よみ)の国で触れた穢(けが)れを指したもの。津日の津は助詞で日は霊を表す。
伊邪那岐神(いざなみのかみ)が筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊(みそぎ)をし、中瀬に降りて流れに潜ってすすがれた時、洗い落とされた汚垢(けがれ)から生まれた神。 戻る
大禍津日神(おおまがつひのかみ)
大は甚だしいの意。 禍(まが)は祝詞の悪(まが)と同じく黄泉(よみ)の国で触れた穢(けが)れを指したもの。津日の津は助詞で日は霊を表す。
伊邪那岐神(いざなみのかみ)が筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊(みそぎ)をし、中瀬に降りて流れに潜ってすすがれた時、洗い落とされた汚垢(けがれ)から生まれた神。八十禍津日神と同時に生まれた神。 戻る
神直毘神(かんなおびのかみ)
伊邪那岐神(いざなぎのかみ)が筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊(みそぎ)をした時、その禍(まが)を直そうとして生まれた神。禍(わざわい)を直す神。
神直毘神を祀る神社--伊蘇乃佐只神社ー鳥取県八頭郡八束町 戻る
大直毘神(おおなおびのかみ)
伊邪那岐神(いざなぎのかみ)が筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊(みそぎ)をした時、その禍(まが)を直そうとして生まれた神。禍(わざわい)を直す神。
大直毘神を祀る神社--伊蘇乃佐只神社ー鳥取県八頭郡八束町 戻る
大国主神(おおくにぬしのかみ)
大国主とは大国を治める帝王の意。皇祖神の系譜に入らない出雲地方独特の出雲神話の始祖神。因幡の白兎・根の国行き・国譲りなどの神話。天照大神から国土の奉還の命を受けて国譲りした。須佐之男神の子孫とされる。大和朝廷の勢力の進展を象徴する。
大国主神を祀る神社--出雲大社ー島根県。大神神社ー奈良県。大和神社ー奈良県。氷川神社ー埼玉県。札幌神社ー北海道。台湾神社ー台湾。樺太神社ー樺太。気多神社ー石川県。出雲大神宮ー京都府。金比羅宮ー香川県。大洗磯前神社ー茨城県。酒列磯前神社ー伊和神社。砥鹿神社ー愛知県。都農神社ー宮崎県。竜頭山神社ー朝鮮慶尚南道。京城神社ー朝鮮京幾道。新竹神社ー台湾。台中神社ー台湾。嘉義神社ー台湾。 戻る
事代主神(ことしろぬしのかみ)
大国主神と神屋楯比売神(かむやたてひめのかみ)との婚姻によって生まれた。国譲りの時、大国主神は事代主神に神意を伺わせ、その託宣によって国譲りを決定した。託宣神の称号でその神霊は皇室の護りとされている。国譲りの時、美保ケ崎へ釣りに出ていたとされ、釣り好きであることから大鯛を抱えた福の神として七福神の一つ恵比寿神に擬せられている。
事代主神を祀る神社--三島神社ー静岡県。長田神社ー兵庫県。美保神社ー島根県。 戻る
少名毘古那神(すくなひこなのかみ)
天之羅摩船(あめのかがみのふね)に乗り、蛾の皮を着て美保ケ崎に近づき大国主神と出会った神。神産巣日神(かみむすびのかみ)は大国主神に「少名毘古那神は私の手の俣より落ちこぼれた子である。あなたと兄弟の契りを結んで国を造り堅めよ」と申されたので二人でこの国を経営された。その後、少名毘古那神は常世の国へ渡られる。
大国主神の病を癒そうと速見湯を持ってきて湯浴みさせて回復したという伝説から温泉神としての信仰もある。大国主の大と少名毘古那の少との関係は陰陽にも通じ、一寸法師などの民話の基になったといわれる。
少名毘古那神を祀る神社--大神神社ー奈良県。札幌神社ー北海道。台湾神社ー台湾。樺太神社ー樺太。酒列磯前神社ー茨城県。他 戻る
建御名方神(たけみなかたのかみ)
大国主神の子。力持ちで千人かかっても持ち上げられないような大石を軽々と持つ。力自慢の建御名方神は建御雷神(たけみかづちのかみ)と力競べをして、建御雷神の手を掴んだ。すると建御雷神の手は氷柱に化し、次いで剣刃に変わった。そして、今度は建御雷神が建御名方神の手を握ると、その手は葦のように柔らかくなってしまった。建御名方神は恐れ驚き慄え上がって「命だけは助け給仕え。この地以外はどこへも行かない。父・大国主神と兄・事代主神の命令や意思には背きません。この豊葦原の中国(なかつくに)は天(あま)つ神に奉ります」と申された。
建御名方神を祀る神社--諏訪大社ー長野県。諏訪神社ー長崎県。その他全国各地の諏訪神社。 戻る
猿田彦神 (さるたひこのかみ)
邇邇芸命(ににぎのみこと)が豊葦原の中国(なかつくに)に降臨した時、天之八又(あめのやちまた)[八方の道の辻]で高天原と下の葦原中国を照らしている神がいた。天神は、「吾が御子の天降りする道を遮るのは誰か」と問い給えば「吾は国津神なり。猿田彦と申す。天津神の御子が天降りされると聞いたので御先導申し上げようとここまで来た」と答えた。そこで邇邇芸命(ににぎのみこと)は猿田彦神に道案内を命じた。「鼻の長さ七咫(ななあた)、背の高さ七尺余、口尻は明るく輝り、眼は八咫鏡(やたのかがみ)のごとくして、照り輝くこと酸醤(ほおづき)に似たり」という。子孫は芸道の家系とされる。後に天宇受賣神(あめのうづめのかみ)と婚姻する。尚、今日では祭礼の神輿の先導として高鼻の赤面をつけた猿田彦神が登場している。
猿田彦神を祀る神社--椿大社ー三重県。都波岐・奈加等神社ー三重県。猿田彦神社ー三重県伊勢市。稲荷大社ー京都市。その他各地の道祖神など。 戻る
高御産巣日神(たかみむすびのかみ))
高皇産霊尊とも書く。ムスは苔ムスなどと同義で生成を意味する。宇宙の生成力を神格化したもの。
高御産巣日神を祀る神社--安達太良神社ー福島県。浅井神社ー富山県。 戻る
闇淤加美神(くらおかみのかみ))
闇は谷あいの意。雨を司る神。伊邪那岐神(いさなみのかみ)が迦具土神(かぐつちのかみ)を斬った時、剣の柄に集まった血から生まれた二神の内の一神。もう一神は闇御津羽神(くらみつはのかみ)といい谷の水の神となる。
闇淤加美神を祀る神社--丹生川上神社上社ー奈良県。 戻る
天之水分神(あめのみくまりのかみ)
水分(みくまり)は水配り(みずくばり)の意。山の分水嶺をあらわす。速秋津日子神(f73gzv,ktn)と速秋津毘売神(はやあきつひめのかみ)より生まれた水を司る八神のうちの一神。
天之水分神(あめのみくまりのかみ)を祀る神社--籠神社ー京都府。吉野水分神社ー奈良県。建水分神社ー大阪府。 戻る
国之水分神(くにのみくまりのかみ)
水分(みくまり)は水配り(みずくばり)の意。山の分水嶺をあらわす。速秋津日子神(f73gzv,ktn)と速秋津毘売神(はやあきつひめのかみ)より生まれた水を司る八神のうちの一神。
国之水分神を祀る神社--建水分神社ー大阪府。 戻る
神倭伊波礼毘古神(かむやまといわれひこのかみ)
神倭(かむやむと)の神は神武(じんむ)の神。鵜葺草不合神(うがやふきあえずのかみ)と玉依毘売神(たまよりひめのかみ)より生まれた四神のうちの一神。またの名を若御毛沼神(わかみけぬのかみ)すなわち神武天皇となって御東征に出られる。神倭伊波礼毘古の御名は大和の畝尾に都を始めた地名の謂われをとって称えた神名。
神倭伊波礼毘古神(神武天皇)を祀る神社--宮崎神宮ー宮崎県。檀原神宮ー奈良県。鵜葺草不合神は鵜戸神宮ー宮崎県。 戻る
五瀬神(いつつせのかみ)
鵜葺草不合神(うがやふきあえずのかみ)と玉依毘売神(たまよりひめのかみ)より生まれた四神のうちの一神。最初に五瀬神(いつつせのかみ)、次に稲氷神(いなひのかみ)、御毛沼神(みけぬのかみ)、若御毛沼神(わかみけぬのかみ)(神倭伊波礼毘古神(かむやまといわれひこのかみ))が生まれた。
五瀬神(いつつせのかみ)を祀る神社--竈山神社ー和歌山県。 戻る
布刀玉命(ふとたまのみこと)
天岩屋戸で八尺(やさか)の勾玉(まがたま)や八咫鏡(やたのかがみ)などを飾り、布刀玉命(ふとたまのみこと)が御幣(みてぐら)をもち、天児屋命(あめのこやねのみこと)が祝詞を奉唱した。御幣、即ち太玉串を捧げた神。神武天皇の御代、この神の神裔の天富命(あめのとみのみこと)が阿波国の忌部(いみべ)を率いて東国を開拓した。
布刀玉命(ふとたまのみこと)を祀る神社--安房神社ー千葉県。大原神社ー千葉県。 戻る
天宇受賣神(あめのうづめのかみ)
天鈿女とも書く。「かれ此処に天照大神かしこみて天岩屋戸にさしこもりましき。ここに高天原みな闇く葦原の中津国悉に闇し。八百万(やおよろづ)の神々は神図り(かむはかり)に図り給(たま)いて、常世の長鳴鶏を鳴かしめ、天の真榊を根こじにこじて、天宇受賣神(あめのうづめのかみ)は天香山(あめのかぐやま)の小竹葉(ささば)を打ち振り、笛、太鼓、手拍子よろしく神懸かりして胸乳を掻き出し調子面白く舞い給えば、天照大神のお怒りを解き給もうこれなり」という神楽の起源となる神。
天宇受売命を祀る神社--椿大社ー三重県。千代大社ー滋賀県。志波姫神社ー宮城県。佐倍乃神社ー宮城県。 戻る
伊斯許理度賣神(いしこりどめのかみ)
石凝姥命とも書く。鉄を造り鏡を作る神。古事記=「鍜人天津麻羅(かぬちあまつまら)を求(ま)ぎて伊斯許理度賣神(いしこりどめのかみ)に科(おお)せて鏡を造らしめ」。日本書記=「故(かれ)、石凝姥命(いしこりどめのかみ)を冶金(かぬち)とし天香山(あめのかぐやま)の金を採り、日矛(ひぼこ)を作る」などがある。
伊斯許理度賣神(いしこりどめのかみ)を祀る神社--中山神社ー岡山県。鏡作坐天照御魂神社ー奈良県。 戻る
須佐之男命(すさのおのみこと)
素盞鳴尊とも書く。スサは荒(すさ)ぶなどのスサで荒ぶる神。伊邪那岐神(いさなぎのかみ)が筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊(みそぎ)をされた時、御鼻より化生した神。天照大神、月読神と共に神話三貴神のうちの一柱。この神はすべてに勝ち、荒々しい振る舞いをされる。須佐之男神の乱暴にお怒りになった天照大神は天岩戸にお隠れになり、高天原や葦原中ツ国は悉く闇世になった。
神話は、須佐之男命(すさのおのみこと)と天照大神(あまてらすおおみかみ)の2神の対立によって展開されていく。はじめは罪の権化として表現されるが、出雲へ下ってからは大蛇退治や植林等をして人間に福祉を授け、国土の経営を行う英雄の神となる。
八俣大蛇(やまたのおろち)を退治した後、櫛名田毘売(くしなだひめ)を娶って宮作りし「八雲立つ・・・」の歌を詠まれた。
天照大神とは姉弟の関係にあるが対照的な地位に置かれている。須佐之男命(すさのおのみこと)の性格は、古代の大王を象徴しており、出雲系の祖神とする説が一般的。農業の神・厄病の神として信仰され、祭事は夏祭を主として山車、鋒、風流ものなど賑やかで派手な祭が特徴。
須佐之男神を祀る神社--八坂神社ー京都。 鞍岡祇園神社ー宮崎県。氷川神社ー埼玉県。熊野本宮大社ー和歌山県。日御崎神社ー島根県。津島神社ー愛知県。須佐神社ー島根県。その他全国の祇園神社、氷川神社、八雲神社、天王社と呼ばれる神社。 戻る
須賀八耳神(すがのやつみみのかみ)
須賀は、須佐之男命(すさのおのみこと)が櫛名田比賣命を娶って宮居を建てられた場所。八耳神は不詳。 戻る
経津主神(ふつぬしのかみ)
フツは剣の切れる音をあらわし威力を意味する。伊邪那岐神が火神の迦具土神を斬った時、剣からしたたる血に染まった岩から磐裂神・根裂神が生まれ、その御子、磐筒男と磐筒女から生まれた。日本書記では、出雲の国へ降りて大国主神と事代主神に国譲りを交渉して成功させた。古事記では建御雷之男神(たけみかづちをのかみ)と同神。
経津主神(ふつぬしのかみ)を祀る神社--香取神宮ー千葉県。春日大社ー奈良県。枚岡神社ー大阪府。大原野神社ー京都市。 戻る
建御雷之男神(たけみかづちをのかみ)
建甕槌神とも書く。建は猛々しいの意。古事記では経津主神(ふつぬしのかみ)と同神。建御名方神(たけみなかたのかみ)と力競べをして降参させた。神武天皇御東征では、建御雷之男神(たけみかづちをのかみ)が自らの代理として霊剣フツノミタマを下している。霊剣の神格化。
建御雷之男神(たけみかづちをのかみ)を祀る神社--鹿島神宮ー茨城県。石上神宮ー奈良県。春日大社ー奈良県。枚岡神社ー大阪府。 戻る
足名椎神(あしなづちのかみ)・手名椎神(てなづちのかみ)
出雲・肥河(ひのかわ)川上の翁夫婦神。大山津見神(おおやまつみのかみ)の子。足名椎神は夫、手名椎神はその妻。8人の娘があり毎年1人づつ八俣大蛇(やまたのおろち)に人身御供(ひとみごくう)を求められていた。
須佐之男命(すさのおのみこと)が肥河(ひのかわ)を逆上っていくと足名椎神と手名椎神が娘を囲んで泣いた。聞けば最後に残った櫛名田毘賣(くしなだひめ)もやがて捧げなければならないという。そこで須佐之男命(すさのおのみこと)は足名椎神と手名椎神に八塩折酒(やしおりのさけ)という強い一夜酒を造らせ、八つの樽に注いで八俣大蛇が出て来るのを待つ。やがて八俣大蛇が出てきて八つの頭を八つの樽に突っ込んで酒を飲むところを退治する。
足名椎神(あしなづちのかみ)・手名椎神(てなづちのかみ)を祀る神社--川越氷川神社ー埼玉県。須佐神社ー島根県。 脚摩乳命・手摩乳命とも書く。 戻る
大山津見神(おおやまつみのかみ)
大山祗神とも書く。大山を司る神、即ち山の神であるが山と海の精霊を支配する。大山津見神はその娘木花開耶媛(このはなさくやひめ)が彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)を産み奉ったので大変喜ばれ狭名田(さなだ)の茂穂(しげほ)で天甜酒(あめのたむけざけ)を造り天地の神に捧供したという神話から酒造りの祖神ともされている。
大山津見神を祀る神社--大山祗神社ー愛知県。三島神社ー静岡県。阿夫利神社ー神奈川県。梅宮神社ー京都市。その他全国の三島神社、大山祗神社。 戻る
稲田毘売神(いなだひめのかみ)
櫛名田毘賣神(くしなだひめ)と同神。 足名椎神(あしなづちのかみ)・手名椎神(てなづちのかみ)との娘。八俣大蛇の人身御供となる前に須佐之男命に助けられた。
稲田毘売神を祀る神社--氷川神社ー埼玉県。八坂神社ー京都市。 戻る
倉稲魂神(うがのみたまのかみ)
宇迦之御魂神と同神。 宇迦は食(うけ)と同意で食物の意味。須佐之男命と神大市毘売神(かむおおいちひめのかみ)の御子で稲の精霊をあらわす。
倉稲魂神(うがのみたまのかみ)を祀る神社--稲荷大社ー京都市。その他全国の稲荷社。 戻る
豊宇気毘売神(とようけひめのかみ)
豊受大神(とようけのおおかみ)と同神で伊勢神宮外宮の御祭神。雄略天皇の御世に夢枕で天照大神が「自分一人では不便で食事も安らかにできないので丹波国比沼真奈井(ひぬまのまない)にいる吾が御饌(みけ)の神、等由気(とゆけ)大神を呼び寄せ給え」といわれたので大宮を建てて鎮座なされた。
豊宇気毘売神(とようけひめのかみ)を祀る神社--伊勢神宮外宮ー三重県。奈具社ー京都府。 戻る
大年神(おおとしがみ)
須佐之男命と神大市毘売神(かむおおいちひめのかみ)の御子で倉稲魂神(うがのみたまのかみ)と共に穀物の守護神。大歳神社・大歳様として祀る。 大年神(おおとしがみ)を祀る神社--大歳御祖神社ー静岡市。飛騨一宮水無神社ー岐阜県。 戻る
御年神(おんとしがみ)
大年神(おおとしがみ)の御子。 倉稲魂神(うがのみたまのかみ)、大年神(おおとしがみ)と共に穀物の守護神。 戻る
天児屋根神(あめのこやねのかみ)
天岩戸の前で太祝詞(ふとのりと)を奉上された神。天照大神がその美辞を讃えられ「宜しく天津神籬(あまつひもろぎ)を持ちて葦原中国(あしはらのなかつくに)に降りて吾孫のために斎(いつき)まつれ」と勅(みことのり)があった。中臣連(なかとみのむらじ)の祖。中臣とは神と人との間をとりもつという意。中臣氏の子孫は藤原氏。大中臣氏は伊勢皇太神宮の祭主、大宮司。神祗を奉祀する家柄。
天児屋根神(あめのこやねのかみ)を祀る神社--春日大社ー奈良県。枚岡神社ー大阪府。大原野神社ー京都府。吉田神社ー京都府。その他全国各地の春日神社。 戻る
手力男神(たじからをのかみ)
天岩戸に集まれる神で一番の力持ちの神。天岩戸を押し開き天照大神をお迎えされた。 戻る
天照大神(あまてらすおおみかみ)
日の神。太陽の神格化。伊邪那岐神(いざなみのかみ)が筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊(みそぎ)をされた時、左の御目より化生した神。神話では弟神、素佐之男命の度重なる乱暴にお怒りになった天照大神(あまてらすおおみかみ)は天岩戸にお隠れになったので闇夜の世界となった。そこで八百万の神々が神議りに議り給いて岩戸からお迎えすると光り輝く世界、秩序ある世界へ戻った。
天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る神社--伊勢皇太神宮ー三重県。その他全国の皇太神社。天津神社。 戻る