五ケ瀬ハイランドスキー場の再生に向けて

五ケ瀬町観光調査研究委員会リポート

本書は、五ケ瀬町観光調査研究委員会でスキー場の再建に向けてレポートを作成し、9月2日の委員会で承認されたものです。しかしながらその翌日、町は新たなスキー場の経営計画として雲海酒造による経営を発表されましたので本リポートは日の目を見ることなく葬り去られることになりました。時の記録として後日の為掲載することにしました。
五ケ瀬町観光協会観光調査研究委員会報告書

五ヶ瀬ハイランドスキー場の考察
(平成10年8月)

観光調査研究委員会編

はじめに
 五ケ瀬ハイランドスキー場は、昭和52年から鞍岡波帰地区に於いて構想が持ち上がり、昭和55年、町に於いて検討されるようになり、昭和60年度に町の事業として正式に取り組まれ、森林空間整備事業や、自治省のふるさとづくり特別対策事業として平成2年12月にオープンした。
 本町のスキー事業は、このようにして長い年月と多くの関係機関や団体、地域住民等の知恵と支援を受けて完成し、全国的に五ケ瀬の名声を高めた代表的なむらおこし事業であるが、残念ながら本年度スキー場の破綻といわれる状態に陥った。
 五ケ瀬町観光調査研究委員会では、このスキー事業のどこに問題点があったのか、そして今後この問題を克服するには、どのようにしなければならないかについて検証し、スキー事業再生のためのシナリオを提言することとする。

一.スキー事業の原点
 現在のスキー事業の問題点を分析するにあたって、先ず、スキー事業の当初の計画はどうであったのか考えてみたい。
 スキー事業の当初の計画は、昭和55年5月、地元から提出された森林公園計画が基本となり、ついで昭和56年(株)東急白馬観光に委託してスキー事業の計画が策定された。その後、計画の見直しが行われ昭和61年に「五ヶ瀬町波帰地区森林レクリェーション基本計画」(興林コンサルタンツ)が策定された。現在のスキー事業はこの「五ヶ瀬町波帰地区森林レクリェーション基本計画」を基本として事業が実施されたものである。

 その基本計画は、
@.向坂山の北斜面に日本最南端のスキー場
A.九州では、珍しいブナ帯の遊歩道による高山植物等の自然探勝
B.かしばる峠林間台地に森林レクリェーションベースキャンプの設置および周辺の自然環境整備。
以上の3点セットで構成されており、森林資源を活用した森林公園計画である。

 この計画を推進するため、平成4年には「五ヶ瀬町観光振興計画」が策定された。この計画は、平成4年度を初年度とし平成12年度を目標とする計画である。

 計画のキーワードは、
(1).地域の哲学を光らせる「九州・山毛欅(ぶな)文化圏」五ヶ瀬構想
(2).地域の風景を光らせる「九州・水と緑の王国」五ヶ瀬構想
(3).地域の心を光らせる「九州・ぬくもりの村」五ヶ瀬構想
とし、ブナをシンボルに、やすらぎの森としてビジターセンターの設置や鉢巻き遊歩道の設置などによって更に森林公園の推進をはかることとしている。

 これらの計画に関連するものとしては、県北フォレストピア実行委員会により策定された県北フォレストピア構想や、平成8年に策定された第4次・宮崎県観光振興計画の改定版がある。いずれも五ケ瀬ハイランド構想を推進する計画が盛り込まれている。また、保安林解除の際作成されたヒューマングリーンプランの計画書も、以上の経緯をふまえた森林リェクレーション実現のための計画である。

 尚、平成4年に策定された本町の観光振興計画は、県の観光振興計画とも連携しているが、県は平成8年度、中間見直しとして改定版が新たに策定されたが本町の計画は改定されていないので、個別案件においては県の計画と整合性がないものもある。しかしながら、計画の理念においては、今日に於いても不変であると思う。

 以上、当初からの事業計画の経緯や理念・コンセプトを簡略に述べたが、これらの基本計画と現実を重ね合わせてみるとかなりの差異がみられる。

 特に、事業そのものがウインターシーズンのみになってしまい、当初計画の森林公園については全く手が付けられていないのが実情である。スキー事業は基本的には、森林公園事業の一環であり、冬はスキーもできるという森林公園である。

 森林公園のコンセプトは、本町の観光振興計画では
地域の哲学を光らせる「九州・山毛欅(ぶな)文化圏」五ヶ瀬構想
となっている。
 日本の文明を育てたブナ帯は、北海道黒松内町から南は九州山地まで及ぶが、その境目が大切な役目を持たなければならないだろう。

 スキー事業は今一度原点に返ってこれまでの計画にある開発理念の再確認と理論構築をしなければならないと思う。

 地球温暖化、ゼロエミッション、エコロジカルなど、地球環境問題に対応するテーマの情報発信基地として、残された貴重なブナ原生林のフィールドを有効に活用する知恵が今ほど五ケ瀬に求められている時代はないと思う。

 行政で作成する事業計画書は、計画書が完成した時点で終わってしまうことが多い。今一度計画書を検証して、緊張感のある事業の推進を願いたい。

五ケ瀬町波帰地区森林レクリェーション遊歩道計画
昭和61年3月

二.経営組織について
1.運営委員会
 当初、経営について町の方針は運営委員会という任意の団体で従業員を雇用して町が経営するという手法でスタートした。実質的に町直営の事業として各種補助事業を活用して順次施設整備を行い、施設整備が一段落してから法人化する。それまでは便宜上運営委員会という任意の組織で運営しようという考え方である。実質的には、運営委員会に報告しながら町で直接経営するという変則的な方式である。

 運営委員会方式は事業の組織が明確でなく、店舗で酒類の販売もできず、従業員の身分の保障もできない状態であったが、この時の運営委員には地元企業や民間人もメンバーに入っていたから変則的でありながらも民間サイドからも経営についての意見を出して大いに議論できた点は評価されてよいと思う。運営委員会当時の議論について参考の為に少し述べたい。

雇用についての議論の行方
 雇用について、運営委員会では、5人〜10人程度の雇用にとどめ、他は季節雇用でなければ採算に合わないとした。
 従業員を募集して入社試験を執り行うことになり、町から与えられたマニュアルに基づき試験を行った。その後、合否審査の時、受験者全員を合格させるよう町から指示があった。30人雇用したいが応募が30人のため全員採りたいとの意向である。それでは、なぜ試験を行ったかと議論になったが町が責任を負うというので全員雇用することになった。
 それ以降、その後も入社退社が繰り返されたが雇用にあたっての試験制度は無くなった模様である。

鉢巻き遊歩道計画
 30人雇用体制の方針が打ち出された時、運営委員会ではグリーンシーズンの余剰人員対策として、従業員による鉢巻き遊歩道の建設を提言した。
 スキー場から向坂山一帯を中心として鉢巻き状のほぼ等高線上に木道の遊歩道を従業員で設置し、ひと周りできるコースを建設しようとする計画である。
 もともとスキー場の計画は、森林公園計画であり、遊歩道の設置計画があるので、この計画に沿って、スキー場から一回りできる森林公園遊歩道を創出し、ブナ林の新緑や紅葉シーズンにイベントを行い、観光資源にしようという発想である。グリーンシーズン対策としての目玉である。

 これによって冬季はクロスカントリーなどの利用も見込める。この考えは、のちほど策定された五ヶ瀬町観光振興計画書にも引き継がれて施設整備計画に上がっている。
 鉢巻き遊歩道は、いろいろな地層をまたぐので、それぞれの草本、木本類の植生の変化を観察できる。約500種といわれる自然の植生の変化は実に素晴らしい。すなわち、北向き斜面のバイケイソウやマンサク群落、南向きや西日の当たる斜面のナラ林帯、、尾根の強風乾燥地帯の高山植物群落と低木群、沢の湿潤地帯のシオジ林と林床のキレンゲショウマ群落、岩場の栂の古木群、肥沃な土壌地帯のミズメなど樹高の高い林層などなど。学習の場となる。
鉢巻遊歩道イメージ


2.株式会社への移行
 当初の運営委員会による経営から株式会社による経営へと組織が変更された。この時、運営委員会は解散され、株式会社は行政と議会、公民館長会長などが取締役に就任された。
 この時点で、サービス業やスキー事業に全く経験のない行政関係者ばかりが役員となられた。このため民間の知恵や事業感覚がスキー事業に反映することができなくなったように思う。おおよそサービス業の経営は、行政にはできないというのが常道であるが、まさにその逆をいくことになった。
 また、取締役に議会からも就任されたので議会のチェック機能がなくなってしまった。議会は、執行部の事業を監督する役目があるが、議会も執行部と一緒になって取締役会で意思決定に参加されるので、議会として問題点の追求ができなくなる構図となってしまった。
 例えば、本年のスキーシーズンは3月22日まで営業の方針でオープンされたのであるが、2月20日には雪が少ない理由で早々とシーズン終了を宣言して休業された。3月になって雪が降ったので再度オープンされたが、一旦シーズン終了のニュースは打ち消しがたく集客が思うように上がらず5万人を割ってしまった。宿泊業界においてもキャンセルが続出し窮地に追い込まれた。シーズン終了宣言の翌週は営業されたわけだから終了宣言がなければ400人以上の集客が確実にできたわけで悔やまれるところである。
 また、3月より営業を休止されているにもかかわらず、この夏スキーセンターやパーキングセンター内の自動販売機や調理場の各種冷凍冷蔵庫やコールドテーブルが通電して運転されたまま放置されている。
 営業休止で従業員全員が退職された場合は、取締役が在庫を点検の上、施設を引き継ぎ、不要な電源は切断して管理される責任があると思われるが、議会も取締役となっているので、緊張感を欠いた経営が行われているのではないかと思われる。
 また、株式会社の組織そのものが運営委員会時代そのままに踏襲されているので賃金や経費の支払いは町から依託金として株式会社に支払い、リフトの売上は、町の特別会計に繰入れするという構図である。このため、独立採算、自主独立経営ができにくい組織になっている。
 このような点も今回改善されることを希望したい。
三.道路工事の目的
 平成9年度、スキー場はグリーンシーズンの営業について、アクセス道路が全面交通止めになるため営業できずに困ったといわれた。地元も生活道路が通行止めにされるということで困った。この道路工事は、スキー事業のための町道拡張工事である。地元からの強い要望により辛うじて迂回路はつくられたが悪路のため一般客は通行できない。
 スキー場のための道路拡張工事が、長期間、数年にもわたって夏期のスキー場の営業を休止してまで工事を行う意味が民間から考えればどうにも理解しがたい。サービス業は毎日毎日の営業の積み重ねが大切であり、営業したり休んだりしているとしだいに客足は遠のいてしまうのである。
 道路は、基本的には長期間にわたる全面通行止めをしてはならない筈である。時間規制や一方通行などで通行を促しながら工事を進めて頂きたいが、工事費が高くつくという理由で半年にも及ぶ全面通行止めを数年続けるという。本年も同様に半年間の全面通行止めが続けられている。
 この結果昨年、スキー場は営業できなくなり、従業員を他町にパートの仕事に出すという事態となった。他町でパートの仕事をして公務員に準ずる俸給を出すとすればスキー場の破綻は見えていた。一部の町民の間では予感されていたことである。
 長期間観光事業を休止するような公共事業はやらないほうがよいと思う。観光事業は営業を続けることが基本であって、道路工事の経費を安くするために何年もグリーンシーズンの営業を中止することは民間からは理解できない。道路工事は長期にわたることになっても営業を工夫しながら続ける姿勢が大切である。本年度のスキー場の破綻はこうしたことが引き金になっていることを認識しなければならない。公共工事という名のもとにすべてを優先させてはならないと思う。
四.レストラン部門の改善
 スキー場のレストランが高い、まずい、サービスが悪いという悪評は、お客様からも、関係者からも当初からいわれ続けてきたことであるが、一向に改善されず今日に至っている。スキー客が伸び悩む原因の一つでもある。
 これは、レストラン経営のノウハウを持ったプロがスタッフにいなかったということが直接の原因ではあるが、改善していこうとする努力がなく、独立採算といわれながらも常に仕事が増えることを警戒する体質があったことも否めない。レストラン内で外注の幕の内弁当が売れるという不思議な現象がすべてをものがたっている。

1.レストランの形態についてこれまでは、
@.お客はフロントで食券を買い求める。
A.厨房カウンターに並び、食券を差し出して待つ。
B.厨房では食券を確認してうどんやそば類を釜で茹でる。
C.茹で上がったら器に盛り付け食券と引換えに渡す。
D.料理を持って空きテーブルを探して座る。(テーブルがなく右往左往することがある)
E.ビールなどの飲み物を購入するために席を立つ。
F.欲しいものが揃ったところで食事を始める。
G.食事が終わったら食器下げ口に食器を運ぶ。(食事が終わってもなかなか食器を下げないので席の回転が悪い)
というパターンである。

この場合
A.立て込んだ時、食券を買うために並んで待つ時間と、食券を差し出して厨房カウンターに並んで待つ時間が長いこと。
B.お客が立て込んでくるとパニック状態となり、先を急ぐあまりに充分に茹で上がらない冷たいうどん等をつい出してしまう。(不味いの不評がたつ原因となる)
C.メニューを増やすほど作業が煩雑になるのでメニューを増やせない。
等の欠点がある。
 メニューが少ないということは食の欲求に対しての選択肢がないということで、食の欲求に応えられなければ当然売上は伸びない。

 このパターンは、あらかじめうどんやそばの選択肢があって、事前に目的を持って集まった客層に対しては有効である。ターゲットを絞った客が来店するうどんやそば、カレー等の専門店には向いているパターンである。
 当スキー場のレストランは、専門店としてあらかじめ選択された客層ではないのですべての客層の食の欲求を満たすことができない。したがってサブレストランとしての専門店スタイルであれば良いと思うがメインレストランとしては、あまりにも殺風景で貧困な食事となり寂しいイメージとなってしまう。このような問題を解消するためには、以下のキャフェテリア方式がよい。
 キャフェテリア方式は、パーティー料理のように、あらかじめ料理を器に盛りつけたり、湯せんにかけたりして待機する方法で、メニューはバラエティに富み、選択肢が増えるので食の欲求を充分満たすことができる。多様化する食の欲求が満たされれば満たされるほど比例して売上も増大する。
 スキー場や、見本市会場その他、短時間に大量の客をさばくレストランのほとんどがこのキャフェテリア方式である。スーパーの惣菜売り場で買い物をするようなものである。

お客は
@.レストランのゲートからお盆を持って入る。
A.ゲットした料理をお盆に乗せて出口のキャッシャーで計算して支払い、フロアーに出る。
(料理の順番は、前菜、汁物、魚料理、肉料理、めん類、ご飯もの、酢のもの、デザート、飲み物などの順に並べてあるので、お客は好みでチョイスする。レジは直列方式か並列方式で数台準備し、頻度にあわせて混み合う時間は数人体制、少ない時間帯は、一人体制とする。)
B.料理を持って空きテーブルを探して席に座り、ゆっくり食事を楽しむ。(テーブルが満席の場合は、ゲートで入場者を調整する)
C.有料の席を一部設定すれば席をリザーブできるので混雑時にもゆったり使用できる。 お膳の下げ方は、これまでは、セルフサービスとしてお客に下げさせていたが、基本的にお客に下げさせない。スタッフが空いた皿を次々下げていけばテーブルの上が空いていく。混雑時にテーブル上に皿が無くなり、きれいに片づけられれば、お客は心理的に座って休息しておれなくなるので席の回転率は飛躍的に高まり売上は増大する。2.レストランのメニューについてレストランのメニューは、これまでは、調理済みのレトルト食品であったが、これからは基本的には五ヶ瀬の素材を使った五ケ瀬の料理がよいと思う。

その他
@レストランのシステムに適合した料理
Aバラエティに富み、客の選択肢を拡げるメニュー
などである。
オフシーズンや平日などの閑期に材料の仕込みや半調理真空パックや冷凍などでストックしておくことが重要である。
 例を上げれば次のようなメニューも考えられるが、メニューの種類やレシピなどは現場でもっと智恵を出して具体化しなければならない。

(1).前菜
   ・五ヶ瀬地どれ野菜と山菜のお煮しめ(前日午後調理冷蔵保存)
   ・湯トーフ(湯せんにかけて待機)
   ・田舎トーフと地こんにゃくのおでん(おでん鍋で待機)
   ・いわなのマリーネ(数日間保存可)
(2).汁もの
   ・いのしし汁(当日朝準備)
   ・ご汁(大豆の引き割り汁・当日朝準備)
   ・きのこ汁(当日朝準備)
(3).魚料理
   ・やまめの塩焼き(真空パック)
   ・やまめのルイベ(冷凍刺し身)
(4).肉料理
   ・宮崎牛のホルモン煮こみ(前日午後仕込み)
   ・フランクフルト(当日朝準備)
   ・スペアリブ(前日午後仕込み)
   ・豚肉の煮こみ(前日午後仕込み)
(5).めん類
   ・山菜そば(当日朝準備)
   ・山かけそば(当日朝準備)
   ・山菜うどん(当日朝準備)
   ・肉うどん(当日朝準備)
   ・スパゲッティ(当日朝準備)
(6).ご飯もの
   ・ビーフカレー(カレーは前日午後仕込み)
   ・五ヶ瀬産米のおにぎり(当日朝準備)
   ・かんごもち(米を笹の葉に包んで蒸したもの)(前日午後仕込み)
   ・稗飯又はとうきび飯(当日朝準備)
(7).酢の物
   ・だいこんなます(当日朝準備)
   ・ラッキョウの酢浸け(前日午後仕込み)
(8).デザート
   ・野菜サラダ(当日朝準備)
   ・各種フルーツ(当日朝準備)
(9).飲み物
   ・コーヒー
   ・ジュース類
   ・ビール類
   ・ワイン類
   ・日本酒類
   ・焼酎類
以上のようにアイテムを増やして食の欲求に応えることによって売上倍増を計る。これまでの2倍以上確保できるものと思う。

3.原価率について 原価率は、レストランの形態や立地などでそれぞれ異なるが、当スキー場では30%〜35%の範囲が妥当ではないだろうか。30%を切ると値段が高すぎるので不評が出る。
 運営委員会時代のデータからみるとレストランの原価率は38〜40%になっていた。例えばうどんなどのサンプルデータでは16〜19%であるが、なぜかトータルでは40%近くになる現象があった。少なくとも月1回は棚卸しを行って原価率の追跡検証をする必要がある。

4.その他
 レストラン経営は、非常に複雑な要素が多岐にわたって存在するので、設備があればすぐ取りかかれるものではない。現在の設備で、これまで全く使用されていない非常に高度な設備器具もあるし、キャフェテリイア方式にすれば不足する備品もある。
 このため、できだけ早くスタッフの体制を整え、レイアウトから仕込みの準備まで用意万端すすめなければ成果をあげることはむずかしい。、レストラン部門については、他の部門に先駆けてすみやかに方針を決定しなければならない。
五.レンタル部門の改善
 レンタル部門は開業当初のような需要はなくなったが、それでもスキー場にとっては、収益の一翼をになう重要な部門である。
1.レンタルシステムについてこれまでは
@.お客は、パーキングセンターの地下レンタルフロントで申込み書に身体サイズを書いてスキーブーツとウェァーを申し込む
A.レンタル係は申込み書を確認して、ブーツとウェアーをストックヤードから申込み書のサイズと照合して探し、カウンターで渡す。
B.レンタルブーツとウェアーを着用して登降リフトで上がる
C.スキーセンターに到着してレンタルショップに行く
D.スキー板とストックをレンタルカウンターで申し込む
E.レンタル係は板とストックのサイズを照合して探し、カウンターで渡す
F.ゲレンデへ出て滑走このように、レンタルシステムはお客にも二重の手間をかけ、従業員にも二重の手間がかかっている。

 これは、登降リフトで登る時に寒いからパーキングセンターであらかじめブーツとウェァーを着用させるということと、板を持ったままリフトに乗れば危ないから、リフトで登った後、板とストックを貸し出そうとする親切心からの発想であると思うが、今やレンタル利用の割合は大幅に減少しており、大部分の客が板を持って登降リフトで登っている現状からしてあまり意味がない。

 このようなことから、
A.レンタルショップはすべて山麓駅側のパーキングセンターで行う
 これにより、お客は山頂駅に到着したらすぐに滑走できて便利であり、スキー場側も2ケ所に配置している人員を1ケ所にまとめることができ無駄な経費を削減できる。
 また、このために空いたスキーセンターのレンタルスペースは、キッズルームなどに利用でき、レストランの少ないスペースの有効活用を計ることもできる。つぎに
B.ショップ形式のレンタルにする。
 近年、先進的なスキー場のレンタルは大部分がショップ形式である。
これは
、@.お客は、レンタルショップのゲートで申込み書に必要事項を記入して登録を行い、ショップのカウンター内に入る。
A.ショップ内には、ブーツコーナー、ウェアーコーナー、板、ストックコーナーがあり、自己適合のサイズや好みの板等をお客自身で選択して持ち出し、出口ゲートのキャッシーで計算する。
B.レンタルの係員は、ショップ内でお客の用具選択のアドバイスやビンディングの調整等のサポートを行う。
C.返却の際も、お客自身で所定の位置まで戻してもらうようにして、後ほどスタッフが手入れして整備する。
というスタイルである。
この特性は、
@.多人数のレンタル要員を配置する必要がないため人件費の大幅削減ができる。
A.お客が好みの用具を自ら選択することが出来る。スキー用具にも流行があり、昨シーズンはカービングスキーという板の構造に独特の変化をもたせて、ターンの切れをよくする改善された道具があった。こういう流行をいち早く取り入れたりして、、且つ、試着することにより、後の取り替え等のトラブルも起こらず、話題の道具をレンタルで楽しむことができる。レンタルショップは以上のA、Bの2点を改善すれば、まだ収益の高い部門であることには間違いない。
 もし、パーキングセンターでレンタルすることにより、登降リフトにトラブルが増えるとすれば、リフト乗り口と降り口のサポートの問題である。

六.人員配置とローテーションに工夫を
 人員については100日稼働で6〜7万人の入り込みのスキー場に100人もの人員配置は、お客6〜7人に従業員1人という数字であり、どう見ても過剰である。
 そこで当然、人員配置についての見直しが必要であるが、スキー場のような現場では、お客の移動に合わせて従業員も動いていくシステムが重要になってくる。

 駐車場係は1日中駐車場のみが持ち場とされ、発券係は発券場のみ、リフト係はリフトのみ、レストラン係はレストランのみ、パトロールはパトロールのみと配置され、それぞれの役職に予備人員や交替要員も含めて、お客のピーク時の体制をそのまま配置されているのをみかける。
 例えば、駐車場係の仕事は朝7時から10時位の3時間程度がピークで11時以降は、仕事が無くなってってしまう。シャトルバスも同様にひと通り、お客をリフト乗り場に運んだ後は、午後3時ころまではほとんど仕事がなくなってしまう。朝、レンタルに殺到したお客もひと通りゲレンデに出てしまえば、レンタルショップはガランとしてしまう。

 リフト係も乗り場でピークの時は、検札1、運転1、交替要員1、乗り場サポート要員2の計5名ほど必要になるが、混み合う時間帯が終われば、運転1、検札兼乗り場サポート要員1の計2名でも運転可能になる。
 以下、パトロールもレストランもすべて同様なことで、駐車場要員が暇になったときはレンタルショップが混み合い、レンタルショップが終わった時は、リフトが混み合い、リフトが一段落した時は、ゲレンデが混み合い、次にレストランが混み合うという時間帯になる。

 このように、あるセクションが暇になった時は必ず他のセクションが忙しくなることから、要員配置をお客の動線に合わせて全体が移動するようなシスデムにしなければ効率は改善されない。管理職は、そのコントロールに智恵をしぼらなければならないだろう。 駐車場要員も、リフト要員も、レンタル要員も、レストランのサービスや食器下げや洗い場をこなすことが必要である。常に2ケ所以上のセクションをこなすことが求めれると思う。

七.ナイタースキーの実現を
 スキーを真に快適に楽しむには、当スキー場では、朝の2時間だけと言い切っても過言ではない。お昼近くになると気温が上がり、雪質が悪くなる。かててくわえて、単位面積当たりのスキーヤーの入り込みが多過ぎるので、ゲレンデは荒れて重たい雪がボタボタッと山と溝をつくり、グチャグチャになってしまう。

 朝、ゲレンデコンディションのよい時間帯に滑っていると、お昼や午後に到着したお客は、同じ料金で本当に気の毒で可愛いそうだと思う。そこで、1日の内にもう1回位、真に快適に楽しめる時間がつくれないかと思う。それがナイターである。

 ナイターは、夕方4時頃に一旦クローズして、1時間30分程コースの整備を行い、5時30分頃から8時までの2時間30分程度営業を行う。、夜間は冷え込むので雪質はよくなるし、圧雪車で整備されたバージンスノーを再び滑走することができる。スキーヤーは、1日に2度快適なスキーが楽しめることになる。

 ナイターは当然別料金であるから、リフトの売上も増加するが、4時から5時30分までのコースクローズの時間はレストランの売上が増加する。

 ナイターは、リフトとレストランの売上が増大し、宿泊施設も宿泊型のスキーヤーが増えるので稼働率が上がる。宿泊施設が潤えばアフタースキー産業が台頭し、地元農林水産物の食材や飲料、タバコなどの嗜好品、消耗品等地域の商店街への波及効果が出てくる。暖房や給湯などで燃料屋さん、民宿の改築、修繕等で大工さん、建具屋さん、家具調度品その他町内の全産業へ波及効果が広がる。また、町民も仕事を終わってからスキーを楽しむことができる。 このように、ナイタースキーの重要さは関係者の皆さんも充分認識されていると思うが、これまでまだ実現に至っていないことはそれなりの理由があることと思う。

 その第1の理由は設備費であろう。正規に全コースを網羅したカクテル光線等高品位の照明施設を建設すればあるいは1億円必要かも知れないが、このようなあまりにも立派すぎる施設は必ずしも必要とは思われない。
 ナイタースキーは国内外を問わず、ほとんどのスキー場に設備されているもので、九州でも他のスキー場はほとんど実施している。その施設は、すべて正規な高品位の施設がなされているのではない。電力量が増加すれば、年間通して基本料金も高くなるので、発電機や照明施設はリースで賄っているところもある。
当初からあまりお金をかけなくてイベント的にやってみることである。あらゆる情報を収集してより効果的な手法をとりいれることが必要である。

 第2の理由は、従業員の勤務体制が困難との見方があったことと思う。全従業員が3〜4時間残業をすることになれば、それは不可能なことではある。しかしながら、もはや、朝一斉に職場に着いて一つのポジションを守り続け、夕方一斉に勤務終了という役所的な発想では経営できないのではないか。サービス業はお客の移動をマークして、お客の移動する方向に沿って職員もポジションを変えながら対応しなければならない。そしてニーズのあるところに早出、遅出、深夜勤務とローテーションをくみながら智恵を出して取り組まなければ実現できないだろう。地域活性化のスキー場の役割の認識とやる気の問題である。
八.早朝スキーへの挑戦を 東北のスキー場で早朝スキーで成功した事例がある。東北自動車道でスキーヤーの車が北上するのを見て、早朝スキーを仕掛けた。
 従業員が、クロワッサンを焼いた。これを早朝に到着したお客たちへ無料サービスして、朝日を見ながら滑ろうのキャッチフレーズを掲げた。これが大当たりで北上する車がターンして入ってくるようになったということである。 当スキー場で南九州4県(熊本、大分、宮崎、鹿児島)による国体予選を兼ねたスキー選手権大会が開催されるようになって今年で確か5年になると思う。年を重ねるにしたがって盛大な大会となって定着し、選手のエントリーも今年100人を越えてきた。

 この大会は、前日夜コースをセットし、翌日早朝一般客の入り込む前に大会を終了しようとするものである。よしたがって朝6時すぎに各宿舎を出発し、7時から7時半まで登降リフトを運行してして頂いてゲレンデに入り、コース整備、インスペクション、開会式、8時から9時まで滑走試合というようなプログラムで行われる。
 この大会の人気は、早朝スキーの魅力にある。当スキー場の特徴は、標高1600mもある高山であることと、ゲレンデが東北の斜面になっているということが特質されるものである。
 このため、早朝は東の空が真っ赤に燃え、朝日に染まるブナ林とゲレンデが浮かび上がる。そのゲレンデは、人も樹木も雪面もすべてが朝焼け色に染まり、早朝の低温と乾燥した雪質の素晴らしいコンディションである。圧雪車の爪の線が縦にどこまでも伸びているバージンコースを一気に滑降するという極めて非日常的な感動のシーンを朝日が演出してくれる。

 各県スキー連盟の役員もジュリーも選手もすばらしいと感動しながら大会に臨んでいる。これから、スキー場の差別化が求められる時代に突入する時、早朝スキーは、五ヶ瀬ハイランドスキー場のまさに、差別化であり、アイデンティティであると思う。 当スキー場は、前記の南九州4県の都市部のスキーヤーが主たる客層で、マイカーで通常3〜4時間圏にある。ところが、早朝出発すれば道路が空いているため2〜3時間で到着する。このことから、早朝発の客層も多く、朝7時頃既にスキー場に到着して車中で仮眠をとりながらスキー場の開くのを待つ客もかなり多い。早朝スキーは、必ず人気商品になるのは間違いない。

 早朝スキーを存分に楽しんだ客はお昼は滑走しない。ゆっくりと休息をとることになる。お昼に到着した客は空いたゲレンデで楽しむことができる。ゆっくり休息を取りたい客に美味しいものをいっぱい提供して、食べて飲んでくつろいでもらうと売上が上がるという構図ができる。 以上のことから、日曜、祝日、祭日には早朝スキーを実施してスキーの話題とイメージアップを図ってもらいたいものである。
九.山スキーについて
 カナダのレイクルィーズやジャスパーのマーモットベイスンあたりでは、山スキーが多いのに驚かされる。自然雪の上を滑ったり歩いたりしながら厳寒の自然界を訪ねることはスキーの楽しみ方の新たな発見である。日本でも中部山岳地帯では結構愛好者が多いようである。
 九州では、ほとんど山スキー人口はないように思うが、それでも時々当スキー場でテレマークをみかけることがある。九州では、山スキーを体験する施設が皆無である。ところが、ある時、向坂山山頂まで板を担いで登り、杉越えからゴボウ畑まで山スキーを体験した。2月の上旬から中旬にかけては、暖冬といえども根雪は50〜80センチある。樹氷の中を自然雪が描く美しい雪面のカーブの曲線を踏みながらブナ林を滑るのはとても素晴らしいのである。
 全国的にスキー人口が減少している時、山スキーの開発もスキー人口の拡大につながることになるので検討の必要があろう。白岩山往復コース、霧立越コース、更に椎谷峠コースの開拓など、期間限定の山スキーは冬季のイベントとして大変面白いと思う。
十.スノーボードについて スノーボードについては、昨シーズンスノーボードの日を設定されていた が、雪不足の為クローズしたので、どのような反響がでるか現実的には未経験である。
 スノーボードを入れるとスキーヤーが減るといわれることと、スキーとボーダーが混在すると狭いスキー場では事故が多いということは現実問題として考えられる。ボーダーは九重あたりのように幅の広いゲレンデを持つスキー場でなければむずかしいのではないかと思う。
参考に、本年インターネットで寄せられた意見を次に掲げることにする。
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1.スノーボードの解禁について、結論から申し上げますと私は基本的に反対です。最近スノーボーダーの数も増え、スキー場側からするとボーダーの要望も取り入れたいという意向もわかりますが、五ヶ瀬ハイランドスキー場の場合、かなり危険な試みではないかと思われます。


2.先日、広島県の芸北国際に行きました。コース幅もかなり広いゲレンデにも関わらず、ボーダーとスキーヤーとの接触がかなり目立っていましたよ。私も、何度か危ない場面に遭遇しました。基本的に、スキーヤーはボーダーの動きが、読めないんです。また、ボーダーばかりを責めるわけではないのですが、突然ゲレンデのど真ん中に座り込んだり、狭いコース幅の約半分を占めて休憩している姿をみると、危なくてその横を滑ることすらできません。

3.五ヶ瀬の場合、午後から表面の雪が追いやられてちょっと固いバーンが出てきますよね。そうなった場合、初心者のスキーヤーは真ん中をよけて端をすべりたくなると思います。その時、ボーダーが両脇を占領していたらおっかなびっくりスキーヤーとしては真ん中を斜滑降、もしくは横滑りで降りて行くしかなく、瞬く間にゲレンデは混んでしまうのではないでしょうか?ですから、ボードを解禁したいのであれば、現在のように「ボードの日」を決めて、スキーヤーとボーダーが重ならないようにした方が、いいと思います。もし、解禁にするのであれば、スキーヤーとボーダーの両者に対し、徹底的にマナーと規則を教育する必要があると思われます。是非、じっくり御検討の程、よろしくお願い致します。

4.五ヶ瀬が好きな鹿児島のスキーヤーより。五ヶ瀬でスノーボードは絶対にやめていただきたい。毎年、東北、北海道でも滑っていますが、広い北海道のゲレンデでも危ない目に何度も会っているしまた、何度も事故に遭遇しました。どうしても(営業的にはやむをえないのでしょうね)解禁するなら、コースを分けるとかすべきです。それも平日。現状休日の混雑ぶりをみれば当然だと思います。そもそも、スキーとスノボは異質のスポーツとしてとらえるべきだと思います。テニスコートで一緒にバレーボールをやるようなものだとの意見もありますが、全くそのとおり。動きも違うし、初心者でボードコントロール出来ないのにスピードが出てしまう。その危険性は、解禁されているスキー場で滑ったことがある人はよく分かるはずです。スノーボーダーにも言い分はあるでしょうが、決して否定しているわけではなく、同居はまずいということです。以上、日頃感じていることを書かせていただきました。

5.スノーボードの件、個人的にはとってもチャレンジしたいと思っていますが、土曜日や日曜日の入場者数をみると、あれにボーダーがプラスされるんですよね。ちょっと大変かな、という気がします。せめてパラダイスコースがあと倍あったら・・・・・。 ということで、開放にはちょっと消極的ではありますが、やっぱりやってみた い、という矛盾した気持ちです。平日ならばOK!です。

6.はじめまして。鹿児島の貧乏ボーダーです。五ヶ瀬は大変良いゲレンデだと聞いていますが、スノーボードが禁止されているときいて、少しがっかりしています。(佐賀まで偉い遠いので (^^; )佐賀の天山で滑った事もありますが、やはりボードの技術はまだ他のスキーヤーに迷惑をかけている部分もあるような感じもします。(自分も含めて)基本的なところで、リフトから降りる際の転倒率が高く、時折、リフトの係りの人に御迷惑をかけているのも多々見られます。確かに、ボーダーの技術もさることながら希望として、初心者ボーダーにもやさしいスロープ(リフトからおりて、バイディングを取り付ける場所)の設計を関係者にもすこし配慮してもらいたい希望もあります。ボード初心者の私ではありますが、五ヶ瀬スキー場での制限付きでも良いので、スノーボードの解禁を心待ちしております。

7.ボーダー解禁の動きについて、意見がありますのでメールを送ります。私は、五ヶ瀬でスノーボーダーを解禁するのは反対です。なぜならば、コース幅が非常に狭い五ヶ瀬では危険であると考えるからです。仮に人の少ない平日だけだとしても、パラダイスコースではたくさんの初級スキーヤーが滑走しており、近県のボーダーも恐らく初級者が大半だと考えられるので、衝突の危険性がかなりあります。私自身、4年程前、富良野でボードに乗った経験がありますが、スキーとはかなり違う動きを要求されます。はじめは、しょっちゅう転倒し(転ばないと停止できなかったため)、おしりに青あざをかなりつくったのを覚えてます。ただ、2時間ぐらいである程度は滑れるようになりましたが‛&。当時の富良野ではナイターの時のみボードは滑走可だったと思います。そのため、平日だったせいもありますが、ゲレンデに人はほとんどおらず、ころんでも人に迷惑をかけるようなことはありませんでした。また、リフトに乗る時に誓約書?みたいなものに署名をしてアームバンド(許可証みたいなもの)をもらいました。

8.最近の全国的な動きとしては、どのスキー場でもボード解禁となっているようですが、それを五ヶ瀬に当てはめるのはいかがなものでしょう。けしてボーダーを邪魔物扱いするつもりはありませんが、狭いゲレンデでの共存は無理ではないでしょうか。ただでさえ土日に初心者を連れて行くのは気が引ける状態なのですから。

9.いつもこのページの情報を見せてもらってはスキーに行っています。一応私も五ヶ瀬の1利用者としてスノボーの解禁について意見させてもらいます。私の意見は基本的に禁止です。理由は五ヶ瀬のコースでは土日等には人がポールのようにぼろぼろとこけてらっしゃる方が多いですよね。(特にパラダイス500メートルの途中から)そこにスノボーが入ってくると衝突等の危険は免れないと思います。とくに九州のスキー場では初心者が多いという事を考慮するとちょっと恐いです。九重で部分的に入れてますがあれは超緩斜面だからこそできるのだと私は考えます。五ヶ瀬の経営の事はちょっと分からないのですが、もし導入しないといけないようでしたらきちんとボードのスクールを常設した方がよいと思います。では失礼します。PS. 五ヶ瀬のスタッフの方は丁寧ですね。九重よりよっぽど好感があります。

10.さて、スノボの件ですが、マァ、しょうがないんでしょうね。できればコースをもう一つ増やすとかしないと身動き取れない状況になりそうで・・・それから、地獄谷もしくはダイナミックコース専用のリフトを新設するなり、ダイナミックコースの滑走可能期間を延長するなりしないと、初心者コースが混み合って、収拾のつかない状態になりそうですね。基本的にスノボ解禁には反対ではありません。これで五ヶ瀬が栄えればそれなりに良いことですから。また、寒くなると良いですね。このまま暖かくなられたら、欲求不満ですか。
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十一.スポーツとしてのスキー振興
 本県の観光振興計画にスポーツ合宿の推進がある。本県には、プロ野球球団のキャンプが各地で誘致され、スポーツ合宿は本県観光のもう一つの大きな柱となっている。こぅしたことから、更に各種スポーツを振興して、県内44市町村の地理や特性を生かしたスポーツ合宿を推進し、ひいては全県的に観光産業の発展を計ろうとするものである。

 本町に於ける、本町ならではのスポーツは何であろうか。本町は、地図の上では九州の中心にあるが、車でのアクセスは近くに都市がなく、どの地方都市からも数時間かかるというハンデイをもっている。数時間かけて五ヶ瀬に来て他の地域には出来ないスポーツとは何であろうか。

 五ヶ瀬は、九州の中では冷涼な気候が特徴であるが、それでは、同じ気候のえびの高原でも阿蘇高原でも出来ないスポーツは何であろうか。それはスキー以外にない。ならば、スキースポーツを今一度真剣に考えたらどうかと思う。 本年度は、長野県に於いてオリンピック冬季大会が開催された。この大会で人口4千人あまりの野沢温泉村からオリンピック選手を3人も出し、しかもその選手が大活躍をした。村を挙げて応援している村人の姿に感銘した。野沢温泉村は日本で最も早くから村営のスキー場を持つ村だからできた快挙である。

 ひるがえって考えれば、わが県から、せめて冬季国体に優勝するような選手は養成できないものだろうか。インターハイに優勝するような選手は養成できないものだろうか。 宮崎県は、これまでスキー場に最も遠い地域でスキーに恵まれないというハンディを背負っていたので、国体のアルペン競技などでは、完走すればよいとする甘えがあったのではないか、ということがある。

 ところが、今では、本気で練習しようとすれば、五ヶ瀬ハイランドスキー場には365日練習できる施設がある。北方の干支ランドや国富町の法華岳にも、霧島にも、福岡の茜スキー場でも、うまく使えば1年中練習できる機会はいくらでもつくることができる。これは、東北や北海道より、スキーの機会が多いということにはならないか。ならば、日本の一流選手をめざして選手養成のために取り組むべきではないかと思うのである。

 その受け皿として、リーダー養成に最適な学びの森の県立学校がある。中学から高校まで全寮制一貫教育で6年間通した教育のフォレストピア学びの森学校は、受験のための詰め込み教育を脱して自然や地域の文化に触れながら多様な能力を持った真の人間性を高める教育を目指すわけであるから、スキーの一流選手を養成するにも目的にかなっている。

 そのためには、まず世界的なスキー指導の第一人者を特別に学校へ迎え、全県下から入学している子供たちの中から優秀選手を育てる教育を年間通して行えば、6年間では必ず優秀選手を輩出できるのではないか。

 町営スキー場を持ち、中学高校の六年間を通した教育ができる町は、全国的にみても当町だけではないか。スキーの町五ヶ瀬の「日本のトップスキーヤー養成5ヵ年計画」などのプランを基にスポーツ合宿の町に発展させることが真のスポーツ合宿の町づくりである。 関係機関や団体でご検討くださることを望みたい。
十二.イベントプログラムの企画
 五ケ瀬ハイランドスキー場は、森林公園でなければならないと同時にブナの原生林というすばらしいフィールドを活用して各種イベントのプログラムを充実させ、インストラクターの養成が必要である。
例えば
3月〜5月
・新緑と残雪のブナ林
  霧立越トレッキング 定員50名
  向坂山白岩山バードウォッチング 定員20名
  山菜&スズ竹の子狩りとクッキング教室 定員50名
  越冬した生き物の観察ツァー 定員20名
  シャクナゲ鑑賞ツァー 定員50名(白岩山の東斜面に大群落あり)
  アケボノツツジ鑑賞ツァー 定員50名(木浦林道に群落あり)
  闇夜のブナ林ミッドナイトウォーク(向坂山白岩山) 定員30名
  エコロジーキャンプ自然体験型の環境教育 定員30名
  春の星座観察 定員50名
  エゾハルゼミの大合唱を聞くハルゼミウォッチング 定員50名6月〜8月
・初夏から夏の森
  森林性の蝶(シジミ類)ウォッチング 定員30人
  森の昆虫を学ぶ 講演会 チミツの森に生きる 蜂家の話
  自然と人との暮らし 講演会 狩猟儀礼作法 猟師の語
  森の探検隊 森林インストラクター 定員20名
  自然遊歩道の整備 遊歩道の研究 ボランティア作業 定員30名
  初夏の野鳥ウォッチング(ツツドリ、ヨタカ、ジュウイチ、ホシガラス、ホトトギス等)
  野鳥調査標識講習会 野鳥の会
  白岩山の高山植物を訪ねる(キリンソウ、カラマツソウなどの季節)
  夏休み自給自足体験 定員20名
  宇宙とわたしたちの星 あまのかわ観星会
  闇夜のブナ林ミッドナイトウォーク(向坂山白岩山) 定員30名
  マウンテイバイク教室 定員20名
  ドウダンツツジ等のさし穂と育て方教室 定員30名
  木工、カズラ細工教室 定員30名
  山野草の押し花教室 定員30名
  中高年のグランドゴルフ・ゲートボール・四半的弓道等の大会
  サマーコンサート・ジャズフェスティバル等9月〜11月
・九州で最も早いブナ林の紅葉
  ブナ林紅葉の霧立越トレッキング 定員50名
  紅葉のアートクラフト教室 定員30名
  渡り鳥ウォッチング(サシバ等) 定員50名
  秋のキノコ狩りと野外調理教室 30名
  ブナの実拾いと苗つくり教室 30名
  ブナ林植樹体験教室 定員50人
  九州で一番早いもみじまつり
  森の果実酒づくり教室 定員30人
  秋の星座ウォッチング ー定員50人
  闇夜のブナ林ミッドナイトウォーク(向坂山白岩山) 定員30名
  森の恵みの晩餐会(天然自然の森の素材料理)

このように思いつくままに羅列してもこれだけの数に上る。ブナ天然林のフィールドは際限なくその活用の開発可能性を秘めているのである。また、五ケ瀬ハイランドは、夏期は日中でも24°C程度で夜は、17°C以下に冷え込む冷涼な気候のもと、大学や研究機関、企業研修、生涯学習機関等と連携して各種セミナーを開催することも意義があると思う。
十三、環境への配慮
 スキー場の開発により、自然生態系へ与えた影響は甚大である。平成2年のゲレンデ造成工事では、湧水地帯へ埋めたてた土砂が流出して長期間泥水が氾濫し、河川の生物や下流の養魚場の魚がほぼ全滅するという甚大な被害を与えた。また、ウインターシーズンに道路に散布する融雪剤の影響により、冬季の河川にはアオドロが真っ青につくようになった。道路も一年で舗装が剥がれてしまい穴ボコだらけになり非常に危険である。当スキー場のように大量の融雪剤を散布するスキー場は他のスキー場では見られない。環境に与える影響があまりにも大きいので、融雪剤の散布は中止して、機械除雪態勢をもっと充実させるべきだと思う。

 全滅したかに見えた蛍は、最近は少しづつではあるが増えつつある。渓谷にカワニナも目につくようになった。自然は徐々に回復しつつあるが、スキー事業の予算の一部は環境に与えたダメージの回復に支援することも考えてほしい。自然の再生力を高める手だてを講じていくことも忘れてはならない。できれば、事業費の数万分の一でも、ホタルの復元やブナ林再生のための予算として計上していただきたいものと思う。そのような事業の哲学を持って頂きたいものである。
十四、まとめ 以上、五ケ瀬ハイランドスキー場の再生のための問題点の分析を試みた。BS・PL(貸借対照表、損益計算書)や補助簿等の開示がないので経営情報が乏しく、具体的に数字の分析はできなかったが、運営委員会時代の資料をもとに考察をすすめたので情報に大きな誤りはない筈である。

1.当面の施設整備については
@当初からの計画である鉢巻き遊歩道の整備。
Aナイタースキー施設の整備。

2.経営組織については
@経営委員会制度を設ける。
取締役会
上図のように、株式会社五ケ瀬ハイランドの組織に、索道事業、レストラン事業、ショップやスキースクール、リゾート開発、地域づくり等の専門家集団を経営委員会に選任して重要な意思決定について参画させる。

3.情報の開示
 本町の地域づくりで最も遅れている部分は、「行政と住民のビジョンの共有」ではないかと思う。本町の観光振興計画では地域づくり10ケ条の第一に「地域の未来像を持ち、行政と住民が共有する」を掲げているが、地域の未来像はもとより情報の開示がないのでビジョンの共有ができない。

 情報の開示や事業の議論が全く行われずに突然に決定されて住民が慌てふためくことが多い。これから開かれたまちづくりのために情報の開示と議論の場の設定を是非すすめて頂きたい。終わりに

 近年、地域の活性化の名目で行政が各種事業を直営で取り組む事例が多い。有名になったその町へ出かけてがっかりすることがある。それは、事業そのものはまさに有名なほどのことはあるが、住民が疲弊しているのである。

 地域の活性化とは、その土地の土や石や樹木、草本類が活性化するわけではないし、公共施設だけが光り輝いていることが活性化でもない。

 要は、その土地に住んでいる人達が生き甲斐と誇りを持って生き生きと活動している姿がなにより活性化である。行政が各種事業のインフラ整備を行い。住民が事業のプロジェクトにあらゆる立場から参画でき、ノウハウを支援し、切磋琢磨のうちに共に発展する姿こそが大切である。

 この度のスキー事業の破綻は、これまで述べたことが主要な原因と思われるが、まだ、他にも多くの潜在的な破綻要因はあると思う。しかし、これを地域住民が大いに議論し、それを克服して成功させることができるならば、力強い町に生まれ変わることができ、今回の失敗はそれなりに意義があると思う。

 もし、地域での議論もなく大企業等に丸投げして解決しようとすることになれば、それは地域の活性化とはならないであろう。 最後に、まちづくりのお手本とされる各地の首長さんの内緒話しで締めくくりたい。

小国町の宮崎町長さん。
「公共事業による活性化は技術の導入にある。公共施設は、できるだけ先端技術を駆使した高度な事業をめざし、施工業者の選定は、総合力のあるゼネコンより専門業者とし、その中に必ず地域の業者を、従業員数人の零細業者でも、同等の資格でジョイントを組ませ参加させる。これにより、地域に技術の導入がはかられます。」

早川町の辻町長さん。
早川は、6つの町が合併して誕生した町ですが、旧村にそれぞれ財団法人などをつくり、食品加工場などの拠点施設を建設して地域住民に任せています。これによりお互いに地域間競争がおこり発展します。」 

町内で展開される公営事業も地域住民育成の視点が求められる。それぞれの地域で展開する公営事業は、その地域住民に任せて育成することを提言して稿を終わることとしたい。