かわら版 『風』 
2002年3月1日号
第14号  発行者 やまめの里 企画編集 秋本 治 五ケ瀬町鞍岡4615  電話0982-83-2326

議会便り

3月議会の日程


3月05日 10:00〜本会議
3月08日 10:00〜本会議
3月15日 10:00〜本会議
(一般質問)
3月22日 10:00〜本会議

コメント
 今月の議会は難しい環境にあります。通常だと3月議会は新年度の予算審議で重要な議会ですが、町長の任期は5月。文字通り町長選の前哨戦みたいな時期の議会となりました。
 まだ予算書が手元にないので分りませんが、当然新町長の方針に委ねなければならない部分もありますから骨格部分の予算審議で、あとは新体制のもとに6月の補正ということになるでしょう。
 議会としても執行部を正していくわけですが、正面に受けとめてくれる人がいなければ力が入りません。

 けれども、1日たりとも空白は許されないのでそれなりに執行部を追求していくつもりです。
そこで今回の一般質問もやはり行政改革、財政改革を中心に正していきたいと思います。市町村合併問題も、元をただせば行政、財政改革にあります。

 あくまでも五ケ瀬町は五ケ瀬町であるべきです。地方交付税が減額されても住民サービスが低下しないように思いきった行政改革に取り組まなければならないと思います。


全国で2番目に小さい町
 先月、岡山県西粟倉村で開かれたシンポジウム「全国源流のむら会議」には、全国で2番目に小さい町という高知県の「赤岡町」から元気のいい女性たちが来ていました。住民主体の町づくりをすすめていて、その威勢のいいのには驚かされました。町の広さが1.5km四方くらいだと言います。

 そこで、全国の町村の規模を総務省のデータから調べてみました。五ケ瀬町と比較してみてください。決して五ケ瀬町は規模の点でもひけをとるものではありません。

人口5000人未満の町村の数

人口  200人台   3
人口  300人台   3
人口  400人台   1
人口  500人台   6
人口  600人台   6
人口  700人台  12
人口  800人台   10
人口  900人台   8
人口 1000人台  114
人口 2000人台  172
人口 3000人台  168
人口 4000人台  220
 以上、なんと人口1000人未満の町村が49もあり、5千人未満になると723町村あります。全国の市町村の23%以上が五ケ瀬町より小さな町です。

次は小さな町村の面積(Ku)です。
高島町    1.27
赤岡町    1.64
伊王島町   2.25
兼山町    2.61
鵜殿村    2.88
魚島村    3.17
西枇杷島町  3.36
墨俣町    3.39
舟橋村    3.47
新町     3.74
田尻町    3.86
生名村    3.87
香良洲町   3.90
 以上、面積がわずか4Ku未満の町村さえも13あります。小さな町ほど住民参加の町づくりで光り輝いているように見えます。五ケ瀬町は171.77Kuですから全国からみるととても規模の大きい町です。
 こうした実に堂々たる五ケ瀬町が合併しなければ成り立たなくなるとすれば、それは行政改革、財政改革ができないからで行政の経営に問題があります。


政務調査

1月25日〜26日、北郷村の全村保安林構想と綾町の雲海酒造ワイナリー施設を全議員で政務調査しました。

北郷村の保安林指定の取組み
 北郷村では、もはや現況の木材価格では再生産ができないと判断。これからは国の助成策を最大限に活用して林業を支えようという取組みが始まっています。そのために全村保安林という構想が計画されました。
 これは、昨年12月議会で後藤貴人議員の質問によりその情報があきらかとなり政務調査につながったものです。

保安林の指定を受けると
1.固定資産税、不動産取得税、特別土地保有税は非課税となる。
相続税、贈与税は伐採制限の内容に応じて3〜8割控除される。
2.造林補助は、普通より高率の補助金が受けられる。
3.立木維持に必要な資金を農林漁業金融公庫から長期低利で借りられる。
4.立木資産の凍結部分については損失の補償が受けられる。
5.治山事業により公共事業として森林整備や保育を実施できる。
などのメリットがある。

また、間伐の手続きは届け出だけで済む。
制限としては、

1.伐採(主伐)を行なうには許可が必要。(皆伐は林齢 杉35年以上、桧40年以上で1箇所の面積は水源かん養保安林で10ha未満。伐採跡地の植林義務あり)
2.所有者が変っても保安林を解除することはできない。
3.家を建てるなど他の用途に転用することができない。
などです。伐採も大面積でない限り届け出をすれば自由に伐採できることから大手の林業会社などは既に保安林の指定を受けていることが多いということでした。

 北郷村が全村保安林構想に踏みきった背景には前掲の理由の他に次のような事情があります。
地方分権推進のため平成12年4月から森林法が改正され、それまで保安林指定を農林水産大臣が持っていたものが重要流域以外は都道府県に移譲された。

 重要流域以外として外された地域は日向市、門川町、北郷村、東郷村の一部、西郷村、諸塚村、椎葉村(大川内地区を除く)です。したがって五ケ瀬町の場合は、重要流域になりますので農林水産大臣管轄となり手続き上なかなか難しいという問題がありそうです。

 しかしながら、まとまった森林地域で、他に用途変更のない山は国管轄であっても検討の余地がありそうです。詳しくは別途個別にご相談ください。


ワイナリーについて
翌26日は、雲海酒造綾ワイナリーを視察し、以下のような説明を受けました。
・綾ワイナリーは平成6年10月完成。
・製造能力は年間400トン。
・5%程度が地元産のぶどうで他は
 移入している。
・反当収量1.5トンを見込むので今
 後60町歩の作付け必要。
・五ケ瀬ワイン13.000本製造。
・ぶどう1kgでほぼ1本のワイン
・買取価格は1kg当り200〜300円。


もくみ視察
 2月8日、日之影のもくみを視察しました。もくみの支援については、前回のかわら版で詳しくお伝えしましたが、今回は、予算を決定した後の勉強です。

 視察で気になったのは、乾燥施設の導入です。乾燥機の釜の中に材を束ねて入れ、120℃の高温をかけて一週間〜10日間かけて仕上げるわけですが、どうも完成品が木材本来の色や光沢、匂いがなくなっているのです。120℃もの高温で煮えたような状態になるからでしょう。

 工事業者は、材が安定しているので使いやすく人気が一時的にはでるかも知れませんが、消費者は、本来の木の持つ温かみ、匂い、色合いなどが実感できないのではないかと思いました。そして、一週間以上も釜の中でボイラーを焚いていると相当のコストアップになりそうです。

 本来、木を建築材に使うということは木の持つ優れた特性を楽しむことにあります。加工することでその特性を失うのであれば、これはどうかなあ、と思いました。

 古来より人は「木ろく竹はち」と言います。旧暦ですから木は7月になってから、竹は9月になってから切りなさいと戒めたのです。

 そのような時期を見て伐採し、サンドライというように山床で葉枯らしして自然乾燥させれば、搬出も軽くなるし第1最高の材となるはずです。

 乾燥機でコストをかけるという一般のやり方より木の持つ香り、肌合い、色合い、すべてが一級品として認められるようになるのではないでしょうか。それがブランドの確立だと思います。

 門外漢の筆者の言うことですから専門家に怒られるかも知れませんが、それがものの道理ではないかと思いました。しかしながら、五ケ瀬は経営に参加しないというヘンな立場ですから言ってもしようがありませんですね。


情報

タイシャ流棒術の取材
 宮崎県広報公聴課は「あいらぶ宮崎」という広報冊子を出版しています。この冊子にタイシャ流の棒術を取材したいと申し込みがありました。

 そこで、2月19日、鞍岡の那須さん宅の秘伝書を拝観することとして祇園神社の佐貫宮司にお払いをお願いして特別に記者に公開させてもらいました。素晴らしい巻物です。

 演武は、公民館長の秋本良一さんが協力してくれて松本成利さん、矢野宏さんが出演、祇園神社の境内で撮影しました。8ページに渡って特集が組まれますので「あいらぶ宮崎」の次号をご期待ください。

 尚、こうした郷土芸能などの情報はやまめの里のHP(ホームページ)に掲載しております。これが目にとまると今回のような取材へ発展するのです。

 HPの内容を以下に転載します。尚、このHPには巻物の内容の写真等も公開していますので詳しくはそちらをご覧下さい。
「タイシャ流棒術・白刃」―心影無雙太車流ー です。


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第1回・宮崎県民スキー大会開催
2002年2月24日(日)

 第1回・宮崎県民スキー大会は、県内13市町村から61名の選手が参加して五ケ瀬ハイランドスキー場で盛大に開催されました。開会式は青空の元、市町村のプラカードと市町村旗を掲げた選手が整列。宮崎県民歌を斉唱して県旗高揚、宮崎県スポーツ振興課の米田史彦係長の力強い激励の挨拶を受けて市町村旗集合のもと野口諒選手(五ケ瀬中等教育学校)が力強く選手宣誓を行ないました。

競技種目は大回転で、コースは第2リフト山頂駅から同リフト山麓駅までの1000m、30旗門です。五ケ瀬ハイランドスキー場で1000mのコースを使用して大会が行なわれるのは今回が始めて。選手は、急斜面、緩斜面、曲折ある変化に富んだコースを全力滑走し、レベルの高いコースに満足のようでした。
この大会は、将来の宮崎県民体育大会の冬季大会に向けて試行的に宮崎県スキー連盟が主管となって開催された大会です。始めての大会のため運営における課題や反省点も多くありましたが、これからの次年度大会に向かって改善してまいりたいと思います。 詳細は下記のURLでごらんください。
大会プログラム
市町村の成績
総合順位
クラス別順位

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2月の新聞コラム
2月は既に新聞でご覧頂いた方も多いと思いますが、下記原稿を掲載しました。今朝(3月1日)道端に多くの車が駐車していました。「おや、何事だろう」と思いましたが「ああ、今日はやまめ漁解禁だ」とすぐ気がつきました。今回はヤマメ漁解禁がテーマです。

(毎日新聞宮崎版 2002.2.8)
ヤマメ漁解禁に想う。
やまめの里 秋本 治 

 二月上旬は、九州山地にもっとも雪の多い季節である。近年は雪が少なくなったが今冬は久方ぶりに雪の多い冬となった。
 これから三月に向かうと雪融け水が渓流を潤し渓魚たちに春を告げる。渓流の女王ともいわれるヤマメはこのように源流に雪を戴くブナ林によって育まれてきた歴史を持つ魚である。
 ヤマメは、日照時間が短くなるにつれ成熟し、やがて渓谷に紅葉が染まる時産卵を始める。子孫を砂中の卵に託した魚は疲れ果て、やがて流れてくる落葉の中に埋まって姿を見せることなく静かに一生を終わるのである。
 通常二年目で産卵するが当歳ものでも一部の早熟ヤマメは産卵に参加する。このヤマメは産卵後も翌年まで生命の灯をつなぐことができるのだ。
 産卵で痩せ衰えたヤマメは氷のような水中で岩陰に潜んで春を待つ。二月も終わりに近づくと陽光がまぶしく光り出し、渓流の水が温んでくる。すると飢餓状態から餌を求めて猛烈に活動を起こすのである。
 そうした三月一日はヤマメ漁の解禁日だ。この日を待ちかねていた渓流釣りファンは一斉に春の気配を漂わせる渓流へ早朝から出かけ愛用の竿を繰り出す。
 この時釣れるヤマメは、産卵に疲れて痩せ衰えたままの魚体で、ヤマメ本来の美しさがなく、食べてもまずい。しかも飢えているため入れ食い状態で根こそぎに釣られてしまうのである。
 ヤマメの盛期は、山吹の花が咲く頃だ。もりもり食べて体力を恢復した五月ヤマメは、魚体が美しく五色を放ち、まさに渓流の女王にふさわしい姿となる。
 禁漁は、産卵の始まる十月からであるが九月下旬になると完熟したヤマメは餌を摂らない。三月一日の解禁も疑問符がつく。もう一月辛抱するとヤマメの価値や保護増殖の効果はより高まるのにと残念に思う。

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台湾のシンポジウム

去る1月29日から台湾のシンポジウムに参加しました。紀行文風にまとめましたので次に掲載します。

台湾紀行「地域づくりシンポジウム」


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岡山のシンポジウム
 2月15日〜16日は、岡山県の西粟倉村、東粟倉村、大原町の3町村合同による「全国源流のむら会議」がありました。
 メインテーマは、「源流の循環経済を考える」とし、山村が生き抜くための交流会議という位置付けです。
 実行委員長は西粟倉村の村長 道上正寿さんです。昨年当地にご相談にお出でになりました。山奥の小さな村ですが、すでに下水道は100%達成という住民サービスがしっかりした村の経営をされています。
 第1セッションを「森林から文化・経済を考える」としてコーディネータが筆者、パネリストに山梨県早川町の辻一幸町長、東粟倉村でからくり人形などのおもちゃを作って全国に発信しホテルも経営している西田明夫さん、「世界で一番短い手紙」で有名になった福井県西丸岡町の大廻政成さんです。
 第二セッションは、「手仕事から文化・経済を考える」とし、コーディネータ―に高知県のデザイナー梅原真さん、パネリストに新潟県の「じょんのびの里」づくりで有名な高柳町総務課長春日俊雄さん、人吉市議会議員でひまわり亭を主宰する本田節さん、西粟倉村でカンジキツァーを制作した上山完治さんです。
第三セッションは、長野県小布施堂の市村次夫さんがコーディネーターで日本で2番目に小さな町「赤岡町」の間城紋江さん、宮本武蔵の生誕地として村づくりをしている大原町田中酒造社長の田中次郎さん、北海道でB&Bをやっている横市英生さんです。
また、「飛躍するセッション」では、江戸川大学の鈴木輝隆さんをコーディネーターに、筆者と岡山市長の萩原誠司さん、小布施堂の市村次夫さん、高知の梅原真さん、西粟倉村長の道上正寿さんなど多彩な顔ぶれで長時間に渡って延々と議論が続き内容の深いものになりました。この模様は、本になりますので後日ご希望の方には配布できるようにしたいと思います。

 こうしたシンポジウムに参加していて、どうもグリーンツーリズムが虚しくなりました。
 きちんとした町づくりをやっているところは、グリーンツーリズムの意識はなくても自然にグリーンツーリズムが出来ています。
 地域づくりに感動を与えるものがつくりだせないでいるところは、いくらグリーンツーリズムと言ってもなにも変わらない。情報がない。学ぶところのない町は虚しいです。
 宮崎には学ぶべき情報が少ない。少ない、というより情報がありません。やはりある分野でそれぞれトップのものを作り出す知恵と努力が必要です。おおいなる刺激を受けました。帰りは、倉敷のアイビースクエアに集まり炉辺談義がまた素敵でした。

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編集後記
 「かわら版」の発行を一月休ませていただきました。今年の1〜2月は、例年の2倍以上の過密なスケジュールで動きました。ようやく3月1日号の発行ができました。またまた長編になりましたが、読む方も大変、書く方も大変と言わずに時間を見つけて読んでください。(笑い)

 2月3日は、長男の結婚式で大変お世話様になりました。厚く御礼申し上げます。

 いよいよ町長選突入ですね。元助役の甲斐賢治さんと企画商工課長の飯干辰巳さんが立候補を表明されています。一騎打となるでしょうか。誤らないようにしっかり選択しましょう。

 この「かわら版」はどなたにでもお送りできますので必要な方はご紹介ください。郵送料として年会費千円のご負担をお願いしています。(治)