毎日新聞寄稿

「明日のために」―ぴりっとからっと―
1月

宮崎県民体育大会冬季大会を

やまめの里 秋本 治

 星空の下、雪面に動く人影から時折ドリルの音が凛とした空気に響く。気温はマイナス八度である。コースセッターが矯めつすがめつ黙々とポールを立て、フラッグを結わえながら斜面を降りる。
 やがて、遠い山の稜線から際だった茜色が上空へ広がりはじめ、その一点に金色の帯が浮かんだ。五ケ瀬ハイランドスキー場の夜明けである。
 先日行なわれた九州四県スキー選手権大会はこうして未明から準備が進められた。
 今年は雪が多い。正月から続いた猛吹雪はスキー大会を歓迎するかのように一転して穏やかな快晴となった。
 この大会は、宮崎、鹿児島、熊本、大分の南九州四県のスキー連盟が合同で行なう大会で今年で九回を数える。宮崎に日本最南のスキー場が出来たことを契機に始まった大会で国体出場選手の選手選考を兼ねて行なわれている。
 毎年100名ほどの選手がエントリーするが回を重ねるにしたがって選手のレベルも高くなった。宮崎県からは、2月に新潟県で行なわれるスキー国体に大回転競技10名とクロスカントリー1名の選手を出場させる計画である。
 ポールをくぐって斜面を駆け降り、タイムを競う大会はまさにスキーの醍醐味そのものである。技術の正確さや忍耐強さが求められ、スピードと斜面の恐怖に挑むスポーツだ。
 スキー場は、宮崎のほかに九州では、佐賀と大分にあるが、アルペン競技に最適な斜度や変化を持つスキー場は宮崎だけである。
 ここで宮崎県民の誰もが参加できる県民体育大会冬季大会が実現できれば素晴らしいと思う。
 県スキー連盟では、宮崎県民スキー大会を来月二十四日に計画している。既に心は「プレ県民体育大会冬季大会」である。関係機関のご理解ご支援をお願いしたいものである。