セッション3

講演 「中央構造線を考える」―21世紀の聖地論―
講師 後藤拓磨氏(中央構造線の謎を探る会)


  後藤拓磨といいます。はるばると信州からやってきました。今、信州では、皆さんご存じのように田中知事で大変話題になっております。皆さんに差し上げたレジュメの一つに「自己紹介にかえて」というのがありますけれども、最初の方に「20代の後半、生まれ故郷の長野県下伊那郡売木(うるぎ)村に帰り10代から書き続けていた長い小説と向かい合った」と書いております。
 後半の方は「山の村の金属」というのを中心に書いていたんですけれど、もう一つは、自分の目に見える世界ということで非常にこだわりを持ちまして、目に見えない世界なんていうものは信じられないということで、その世界にこだわって長い小説を書いていました。

  その頃、丁度今の田中康夫長野県知事、今失職して選挙にのぞむ訳ですけれども、その方が「何となくクリスタル」という小説を書いてデビューしました。非常に衝撃的なデビューでありまして私の書いていた、いわゆる純文学の小説、そんなものはまったく破壊されてしまいました。
 あの方は、恐らく破壊の星の下に生まれたんだと思うんですけれども、その後、非常にパワーアップされて今度は長野県政を壊してしまった。もちろんそれは皆さんが望んだ事だったんですね。実は、私もあの時一票を入れました。正直言ってああいうタイプの方は好きではないんですけれども、大変な役割を持った方だと思います。その後、これから長野県政がどういう形で破壊から、また、破壊が続くのか、どうも続きそうですけども、それも県民の選択です、どういう道を行くのか注目しています。
 私は、そういう経歴の小説書きですから何の専門家でもありません。山北先生のような地学の専門家でもありませんし、滝の話をされた小林先生のような、小林先生の本業は心理学の先生ということですけれども、私は特別な専門分野を持ちません。あえて言えば、民俗学とか歴史とかそんな所に少し関心を持っているかなというところです。
 今日は山北先生のような、地学ぽい話も私のにわか勉強でやらせて頂きますけれどもスライドを見ながらお話を進めさせて頂きます。


分杭峠の断層
 私の今日のテーマは「巨大断層と聖なる地」というテーマを付けさせて頂きました。なぜ、巨大断層が聖なる土地であるのか、皆さんも疑問を持たれると思いますけれども、私はそういうことに非常に関心を持って調べています。
 この場所ですけども、長野県の中央構造線の真上に長谷村というところがあります。この向こうに見えているのが長谷村のダム湖です。人工的に造った湖ですけども、ここを中央構造線が走っています。標高は、1400mあります。さっき、山北先生の話があった九州の蘇陽町を中央構造線が通っているという話ですけれども、それの、はるか延長がここにある訳です。
 これは、分杭峠です。是より北高遠領とあります。昔こういう石碑が建っていたんですけれども、それが盗まれちゃいましてこれは新しく建てたものです。実は、さっき森田さんのフルートで「高千穂」がうたい込まれた「紀元節」の演奏がありましたが、あの作曲者はこの高遠出身の伊澤修二という男です。東京音楽学校を造った人です、非常にご縁があるような気がします。次お願いします。
 これが山北先生のご専門になりますけども中央構造線の露頭といいます。断層面が現れている有名な場所になります。これは長谷村の今の分杭峠の直ぐ近くにあるんですけれども、北川(きたがわ)の露頭と呼んでいます。これが中央構造線の断層面で、内帯と外帯に分かれる断層はここを通っています。次お願いします。
 これがアップしたところですね。破砕面がこんな形で、粘土状というんですか、現われているのがはっきりと分かると思います。これだけはっきり分かる露頭は中央構造線の1000kといわれていますけれども、その延長の中でも非常に珍しく全国的に有名な場所です。今、長野県の天然記念物に申請していると思います。次お願いします。


長谷村の「気の里構想」
 今、長野県の長谷村は「気の里構想」というのを進めています。センターを造って3年位になりましょうか。気の里って何かといいますと、大地から湧き出ている「気」を活用して村おこしをしようじゃないかということで、村長も一緒になって太極拳やっているんです。大地の気を感じて、それを体の中に巡らせて、さらに良い事があるんではないかということで太極拳をやっている。早稲田の人間科学部の教授に指導を受けて村長も恐る恐るですけれども太極拳をやっているところです。次お願いします。
 分杭峠にまた、戻ってきました。どこから気が湧いているかという事ですけども、中央構造線はこの村づくりをやっている人達に言わせると、あるいは、気の里の気の場を発見したと言っている皆さんに言わせますと、非常に良い気の場がたくさんあると言います。特に分杭峠のこの辺り、この木の繁った下あたりに非常に強い気の場、大地のエネルギーが湧いている場所があるというんです。次お願いします。
 これは、去年ですけれども、ここにいるのがさっき紀元節を歌った芳賀先生ですね、皆さんこんなことを聞くとビックリするかも知れないですけれども、非常に大地のエネルギーを自分の体でもって感じる特殊能力を持っている方です。なぜそんな特殊能力があるかということは、本人がご説明するでしょうし、また、私も後でお話をする機会があると思います。
 大地の気の場を一緒に歩いて頂いて、強い気がでていると指しているところです。ここは、そんな強い気ではありませんが絶えずでていますよというところを見つけてくれて指で指しているところです。
 そういった気の場が見つかりまして、そこを村が少し整備をしまして、そこにいろんな人が来るようになりました。どんな人たちかといいますと、この人たちは埼玉県のコンピュータ会社の社長です。従業員120人います。この方は、京都のコンピュータ会社の社長です。銀行も出資している大きな会社の社長です。そんな方々がどんどんやってきてここで瞑想したりしています。なかには、病気が軽くなったなどといわれる人がいたりして、そんなファンが増えています。
 その内、この場所が気にいったという地元の建設会社の社長が六角堂というのでしょうか木造で瞑想ルームをつくったりしているんですね。
 次は、芳賀先生がこんなかたちでで癒しといいましょうかね、体調を整えるようなことをやっています。けっして怪しげな新興宗教ではありません。さっきの方々もそうでしたけれども、芳賀先生も別にご本業のある方です。


鹿島灘の磁気異常
 これは蛇紋岩です。先程、山北先生のお話にもありましたけれども、中央構造線の外帯にある岩石です。なぜ蛇紋岩というかといいますと、蛇の鱗のような模様があるわけですね。もろい岩石だといわれております。
 それで、はるか中央構造線の東の果ては鹿島灘という説があります。先程、山北先生と情報交換させていただいたら、山北先生は別の説をお持ちのようですが、去年、私は中央構造線の東の果ての鹿島灘に行ってきました。これは鹿島灘の北の大洗というところですが、大洗と鹿島灘のどっちかを中央構造線が通っているという説があります。
 蛇紋岩という石を見ていただきましたけれども、鹿島灘の海底二千メートルくらいのところに巨大な蛇紋岩があるというのです。それがなぜそういうふうに推定されたかといいますと、1970年の後半に大陸棚にある地下資源を探索しようということでセスナ機を飛ばしました。地球上のあらゆる堆積物は磁気を帯びているわけですけれども、その磁気の調査をしたら空中にまでその磁気異常が観測されたというのです。磁気異常といいましても私たちが体で感じるほどのものではないのですが、数値としてそういったものが表れまして、じゃあその磁気異常の原因は何かということで地質学の人たちが調べますと蛇紋岩の馬鹿でかい岩体が鹿島の地下にあるということでした。
 さっきもいいましたように蛇紋岩というのは、中央構造線の外帯を特定する時の指標になる岩石なんです。だから、これがあるということは、中央構造線の位置がどうもここをとおっているのではないかと推定されてきたということです。
 これは、鹿島神宮の有名な要石ということで、石の内容はまだ調査されていないのでわかりませんけれども、この要石が地震を押さえている、地震押さえの霊石といわれてきました。この小さな石を掘っていくと地下深く掘っても掘っても掘りきれない馬鹿でかい石だということです。水戸黄門が七晩掘ったけれどもついに掘り当てることができなかったといわれています。これがあるおかげで鹿島灘は地震が起きないと昔から言われています。地下の鯰を押さえていると伝承されています。龍だという説もあります。
 鹿島神宮の宮司さんが石材屋さんを通じて調べましたらこれが花崗岩だというのです。花崗岩というのは、中央構造線の位置を特定する場合、内帯を特定する指標になります。さっき言いましたが、蛇紋岩のほうは、中央構造線の外帯の指標になります。鹿島の要石は、中央構造線の内帯の花崗岩かどうかは解りません。一方んの蛇紋岩は、非常に磁性を帯びているということですね。


原始生命の誕生
 次は地球の写真でありますが、なぜ地球に磁気というものが誕生したのかということをお話ししようと思います。
 この地球は46億年前に誕生したわけです。私どもの母なる地球ですけれども、できた時は、小惑星が衝突してどんどん大きくなってきたといわれています。その時に鉄とかニッケルとか、地球を構成する重要な成分、重い成分が地球の内部に沈みこんでいったということです。
 そうやっている間に海が形成されまして、40億年前に最初の生命が誕生しました。これは、深海底にある熱水の噴出孔です。チムニ―といわれています。20年ほど前に深海用の潜水艇が開発されまして深海の様子がはじめてわかってきました。チムニーからこういったものが噴き出しておりまして、ここに最初の原始的な生命が誕生したんではないかと、それは40億年前ではないかと言われ始めました。
 以前は地球の生命は浅い海から誕生したんではないかという説があったんですが、最近は熱水噴出口から誕生したという説が有力ということです。ここにある硫黄なんかを食べるバクテリアみたいなものが最初でてきたのではないかといわれてます。
 そのうち、海底に光合成をするランソウ類ができてきました。そのコロニーの化石が、ストロマトライトと呼ばれています。光合成というのは、太陽の光エネルギーを利用して、二酸化炭素と水から栄養となる炭水化物を合成して酸素を放出します。酸素は初めは海水に溶けていた鉄イオンと結びついて、赤い酸化鉄を海底に沈殿させました。それが35億年くらい前に出来てきたんじゃないかと、これが重要なポイントです。このランソウ類の登場によって地球に酸素ができたのです。ランソウ類が空中に酸素どんどん放出するようになって地球の大気が出来たというふうに考えられています。
 この写真が、カナダで、ストロマトライトが化石化したといわれるものです。オーストラリアのストロマトライトの場合は、地球の鉄鉱石の90%まで供給しています。日本にもこれが入ってきています。これを見ていただきますと鉄鉱石だということがよくわかると思います。これは、同じくストロマトライトの縞状鉄鉱層なんてことをいわれますが、それがこれです。


地磁気と生命の進化
 地球は、磁気を帯びた水のある惑星です。もともと地球は磁気を帯びていたといわれていますけれども、今から27億年くらい前に、それまでのマントルといわれる地球の内部の部分が一層構造から二層構造になったといわれる方がいます。まだこれは推測のようですけれども、それによって地球の磁石のスイッチが入った。それをダイナモと言います。発電機のことです。ダイナモのスイッチが27億年前に入ったと考えられています。
 それによって地球のまわりの磁気が大変強くなりまして、太陽からでるような放射線、それを浴びてしまうと病気の原因などになってしまうような放射線をその磁気がカットした。そのころにですね。海の中の生物は進化を遂げてきました。磁気が地球を守ってくれることと、さっきいいましたストロマトライトが空中に酸素を長い時間放出するようになって地球が酸素のある惑星になった。それでもって海にいた生物が地上にどんどん進出をし始めた。本能的に生物は上陸を開始したと言われていますけれども、それは27億年前、地球にダイナモのスイッチが入ったあとの姿です。
 その後、生物はどんどん進化して恐竜の時代になります。今、恐竜が滅びたというのは隕石説が強いですけれども、実は、磁気の異常が生物を絶滅させたんじゃないかと言う説を唱える方も最近出てきています。それだけ磁気というのは我々は気がついていないのですけれども、生物にあたえる影響が非常に大きいということが最近になってわかってきました。
 ガガーリンが宇宙に行って地球の磁気圏のバンアレン帯(高層に存在する高エネルギー荷電粒子の分布密度が高い帯状の領域。強い放射線が存在するということを発見したアメリカの科学者バンアレン(J. A. Van Allen)を記念して命名)を発見したりして最近になってようやくそういうことがわかってきました。


地震押さえの要石
 これが花崗岩です。これがさっきの蛇紋岩の反対側、中央構造線の内帯側に千キロにわたって帯状に分布しているという石です。花崗岩というのは非常に不思議な石でありまして、さきほど花崗岩は海の形成と非常に関係があると申しましたけれども、これの中に磁鉄鉱が含まれています。この花崗岩の磁鉄鉱が風化して溶け出して層をなしたものが砂鉄だと言われています。砂鉄の原料に花崗岩はなっているようです。
非常に磁気をおびていますのでこれが人体の脳の部分に影響をあたえるんじゃないかということをおっしゃる方々がでてきました。
 これは、鹿島神宮のちかくにある千葉県の有名な香取神宮です。ここに昨年お伺いしまして、非常にパワーを感じ凄い場所だなあと思いました。はっきりいって鹿島神宮の方はあまりパワーを感じなかったのですがこの香取では凄いものを感じました。
 香取にも地震押さえのいわゆる要石がありました。鹿島ほど有名ではありませんけれども、こういう石がありまして鹿島と一体となって地震を押さえているといわれています。こういうものは全国にありますが特に鹿島が有名ということですね。次お願いします。
中央構造線異説
 これは、中央構造線の図ですが、さっきの山北先生の説明ではここで中央構造線は止まっていました。今のところさっきいいました磁気の異常だとかで推測するしかないのですけれども、この点線のところを通っているのではないかということです。
 山北先生は、関東の地下深くで分岐して東北へむかっているというお話だったと思います。また別のことを研究されておられるようです。
 これはですね、伊那谷の隣り、遠山谷でありますけれどもこのように断層地形をつくっております。


磁気と気の正体
 ここで、話を少し変えまして気の話をしたいと思います。さっき大地から気が沸きあがっているなんてことをお話しましたけれども、気の正体なんてものは、今、全然科学では証明されていません。最近学会ができまして国際生命情報科学会といいます。私も賛助会員として参加さしていただいておりますが、科学的に気を解明しようということでやっています。
 学術最高顧問は、渥美和彦先生(東京大学名誉教授)です。かつては西洋医学一辺倒だったかたです。その方が東洋医学だとか代替医療の研究
始められて今、気に対しても科学的なメスを入れられようとしています。しかし、気の正体というものはまだわかっていません。
 わたしにも気の正体は分かりませんが、今、磁気というものを手がかりに中央構造線を歩いて調べております。さっきの長谷村が、その調査の出発点でした。その磁気への関心から空中磁気異常ということで鹿島灘に行き、鹿島神宮、香取神宮のあたりを調べました。そして、この一帯の場合、たとえ通っているのが中央構造線ではないとしても、やはり、なんらかの巨大な断層が通っているらしいということで夢をもって調べているわけです。
 さて、ここから中央構造線は、愛知県の伊良湖岬をとおって九州に伸びていきます。この伊良湖岬は民俗学者柳田國男にゆかりのあるところです。柳田國男は、この隣の椎葉村とも非常にご縁があって「後の狩詞の記」を明治41年に来て書くわけですけれども、この柳田國男にゆかりのある伊良湖岬を通って、そのあと中央構造線は伊勢へ行きまして伊勢の内宮と外宮の間のおそらく1キロくらいしかないと思いますがその間を通っています。地質の専門家にも聞きましたけれどそれは確実であるといわれています。
 それから奈良県の吉野をとおりまして、和歌山などを通って四国、この九州へ続くわけであります。こうして中央構造線を見ていただいたわけでありますけれども、この外帯には強い磁気異常の場所があって大地というより岩でありますが、和歌山県の龍門山というところに磁石岩というところがあってその蛇紋岩が雷の直撃を受けてから非常に磁気が強くなって、そこでは磁石がくるくると回ってしまうというところがあります。磁石に関する本にも出てきます。そういう岩があります。


生命体としての地球
 それでは、スライドでは地球の写真に戻ります。宇宙から見た地球の姿を一緒にながめながら、皆さんも深遠な思いに浸っていただこうと思います。これを見ながらお話をさしていただきます。さっき東洋医学が見直されているといいましたが、これは世界的な傾向です。中国ではもともと大地の気の流れを風水で考えるという風水学の研究がさかんでした。風水学は、中国が西洋科学のような文明を生み出さなかったために、時代遅れのとんでもないものだと葬り去られていたわけですけれども、風水の考え方がまた、見なおされてきました。風水の考え方は、大地の気というものの流れる龍脈があって、それをコントロールしようという考えかと思いますが、今、わたしたちは中央構造線上の「気の場」も、風水でいう龍脈とよく似たものではないかと考えております。人体では、気の流れるところを経絡といいますが、それが大地の場合、断層に相当するのかも知れない。そして、分杭峠の気の場のような大地のパワースポットは、人体で言えばツボに相当するのではないかと考えます。この考えの背景には、大地(地球)は、生き物であるという考えがあります。しかし、そうした風水的な思想は、迷信のたぐいであるとして、長く見捨てられてきました。ところが20世紀も後半になって、西洋科学をやられた方の中からも、同じような考えが打ち出されてきました。代表的なのはですね。NASAにかかわったジェームス・ラブロックという方です。この方は、地球は一つの生命体ではないかという地球ガイア説をいわれます。ガイアというのはヨーロッパの神話にでてくる大地の女神のことですけれども、そのガイアの名前に引っかけて地球というのはひとつの有機体、生命体ではないかという仮説をたててそれが今では非常に支持されています。
 それは、今いった東洋の風水の考え方と非常に近いものがありまして、そんなようなところから、風水が見なおされているんです。ガガーリンが宇宙に最初行った時、一番衝撃的だったのは、地球は青い水のある惑星でありまして国境なんてどこにもないといいました。これは当たり前のことなんですけれども、みなさん、今はこの地球の写真をみてもなんともないわけですけれども、はじめて外から地球を見た時、凄い衝撃をうけたのです。で、地球はほんとに一つの生命体という気がします。私もそのような気がします。ここで生きて呼吸をして40億年の間生き続けてきた地球自身もなんか進化してきたような気がします。


聖地はエネルギーの強い場所
 これからは、私のとんでもない仮説をお話しすることになります。中央構造線は、糸魚川静岡構造線という、もうひとつの大断層とぶつかるわけなんですが、ここに諏訪湖があります。諏訪は諏訪信仰で有名ですけれども、一番古いところは、諏訪大社上社前宮ところなんですけれども、中央構造線が上社前宮の境内を通っていることが地元の地質の研究者によって確認されております。
 ということでここに鹿島神宮、香取神宮があり、諏訪大社があり、それから伊勢を通って、それからここの熊本の幣立神宮があるわけですけれども、そういった断層といわゆる聖地といわれる場所が近い場所にあるということを私は感じるようになりました。最初はですね、3年前よく知らずに和歌山県の高野山も中央構造線の上かなと思ったんですが、どうもそれはだいぶ離れていることがわかりまして、高野山については、中央構造線説から外しています。
 もうひとつは、仏像構造線も走っていますが、先程、山北先生からお話がありましたが、それはたいしたものではないというお話でした。私は、中央構造線にある面ではこだわりつつも、こだわるまいとしています。それはどういう意味かと言いますと、ほかにも断層から気みたいなものが湧き出ているところを確認しています。私自身も芳賀さんと歩くうちに少し能力が開発されてみたいでですね、大地の気がでている場所を他でも確認しました。今年の6月に飯田の町のシンボルの風越山(かざこしやま)に登った時に、もしかしたらこれは断層があるかもしれないぞということになりまして、まさかと思っていたんですけれども、その近くを歩いていましてたら非常に、ドア―ッとくる場所を感じましてびっくりしまして、あとで断層地図を確認しましたら断層が通っていたということです。中央構造線は一番の日本を代表する断層でありますけれども、中央構造線にこだわりつつも、それほどこだわるまいというのはそういう意味です。他の断層でも非常にエネルギーの強い場所、気のようなものが沸きあがっている場所がどうもたくさんあるということが感じとしてわかってきました。次お願いします。


古代人は断層沿いに移動した?
 これは宇宙のランドサットからとった写真です。中央構造線がこう走っています。ここが伊良湖岬の先端、ここが伊勢ですね。こうした空中からの写真を見ていただくとですね、構造線はこれは、あきらかな「道」なんですよね。おそらく古代の人たちは、この断層沿いに移動したんじゃないかといわれていますけれども、それはこれがルートとして使えるからです。
 現在、国は、太平洋新国土軸構想として国土軸構想を打ち出していますけれども、これは霧立越シンポジウムにもお出でになった国土審議会の下河辺さんたちが提案されたものと私は認識しておりますけれども、中央構造線上のルートを新太平洋国土軸というあたらしい国土軸として位置付けて注目しているとそういう情報もあります。
 なぜ断層が道になるかということですが、これは私どもの地元にある博物館の絵(イラスト)を使わせていただきましたが、断層の鞍部というのがありましてこういうところが人が行動する、移動するには楽なわけです。もしかしたらこういう道がですね、尾根筋とか同じようなかたちでもって人が移動する時に大地からエネルギーを与えてくれて、沢をのぼるとエネルギーが奪われるといいますけれども、尾根筋は逆にエネルギーが満たされるという説がありまして、こういう鞍部を移動すると非常に疲れも少なく、むしろ疲れがとれてエネルギーが補充されるかたちでもって古代の人たちがこういったところをあるいて行ったのではないかということを想像しています。
 これは、大鹿村にある中央構造線博物館です。建物の向こうに見えるのが大西山といいまして、40年以上前、大きな災害で崩れたことがあるんですけれども、中央構造線沿線は、こういうかたちでもって非常に土砂崩れも多いところです。さっき申しました空中磁気異常の原因になっていると考えられる蛇紋岩というのがこの辺には、たくさんありまして蛇紋岩というのはこうしてもろく崩れ易いものですから、大きな災害の原因になったりもします。


花崗岩が電磁波を伝える
 ところがですね。蛇紋岩ははそういう性質なものですから、地震のエネルギーを吸収しているのではないかという説も最近は唱えられるようになりました。2年ほど前に筑波大学の先生が、アメリカの学会に発表しましたけれども関東平野の地下深く、中央構造線の25キロから40キロという地下深くに蛇紋岩の大岩塊がありまして、それが太平洋プレートからくるエネルギーを吸収しているというのです。東京首都圏では、関東大震災という大きな地震が起きたんですけれども、比較的地震の巣のようなプレートの境目のところで地震が起きないのは蛇紋岩の大岩塊があるからではないかと発表されました。そういうことで私は、いろんな意味で蛇紋岩に注目しています。
 それからですね、一方の花崗岩なんですけれども、皆さんのお手元にあります資料のなかでマイナスイオンの資料がありますけれども、そこで神戸の地震に関連したマイナスイオンの資料がありましたけれども、いろいろと花崗岩のことを調べていますと花崗岩の中に石英が含まれています。その石英が電気を伝えて電磁波をつたえているんではないかと、それによって地震雲だとか、地震の前の宏観異常、これは中国の言葉なんですけれども、簡単にいうと前兆現象が観測されています。
 月が真っ赤に見えたとか、地震雲が見えたとか、あるいは動物が地震を予知して逃げ出したとか、そういったことがいわれていますけれども、それはどうもその花崗岩の石英が電磁波を伝えるために電磁波の現象でおきているのではないかということを大阪大学の池谷元伺先生という方が言い出しました。
 それで今、電磁気地震学というのを学会に提案されています。これから学会がどう動くかと私も注目していますけれども、その電磁波が花崗岩の中を伝わるために地震雲が発生したり、これはメカニズムがむずかしいのでここでは控えますけれども、地震雲がおきたり、動物が地震を感知して逃げたりとか異常な行動をおこすのは私どもの下に花崗岩があって、その石英が電磁波を伝えるものですから非常にピリピリ感を感じて、それで動物は嫌がって逃げるのではないかということを言い出しました。花崗岩というのも中央構造線にとっては非常に特徴的な岩石ですから、中央構造線に沿って花崗岩が分布しているところから、その沿線は非常に面白いものを秘めている訳です。


脳に作用する磁鉄鉱
 もう一つは、さきほど花崗岩の中で磁鉄鉱が含まれていて、それが脳に変性作用を与えるのではないかと言いましたが、それは、実は昔から言われてまして、エジプトのピラミッドの本体は石灰岩で造られているんですけども、そこに納められた石棺は、何故か、アスワンから運ばれた花崗岩をわざわざ使っているんです。花崗岩というのも、どうも太古からそういった働きをしていて、我々の脳に変性作用を与えて幻想を見やすくするだとか、あるいは、幻想以上の何か大きな閃きをもつだとか、そういった作用を人体に及ぼすという事を、太古の人達が知っていたのではないかというふうに考える人がいます。私もその説は、非常に魅力のある説だなーと思っています。
 そういう花崗岩が1000qにわたって内帯側にある。そして、空中磁気異常の原因になったり、和歌山では、磁石が回る程の磁性を帯びる事がある蛇紋岩が外帯にあるのが中央構造線なんです。
 だから、もしかしたらこらの高千穂だとか、幣立てだとかそんなような所にもそんな場所があるかも知れません。地球のすべての断層上にパワースポットというか、そういう場所があるわけではないようでありまして、どうも、所々吹き出ているポイントがあるというふうに言われています。


中央構造線の民俗学
 もう一度、地球の写真に戻して下さい。見ているだけで非常に崇高な気持ちなって参りますよね。さて、私は今、非常に大きな、いろんな角度から中央構造線の事考えています。切り口の一つはですね、中央構造線は民族の移動ルートであったというような事も考えてます。もっと具体的に言いますと、高千穂に有名な岩戸神楽があります。それから私どもの伊那谷の方にも有名な湯立ての神楽がありまして、そういったものが共通性があるんじゃないかと思っています。
 中央構造線の西の果てと、中部地方という東の果てとは言いませんけれども、だいぶ離れていまして、今まで、そういう事を民俗学の研究者は考えておりません。むしろ、専門外の方がそういう発想を持って、何か共通性があるんじゃないかというような事を言ってまして、こういった事も是非まともに取り上げて頂きという事で、今後提案をして行きたいと思っています。
 それから、今日、ここに来る車の中で、秋本さんにお話したんですけれども、植物も中央構造線というのが断層で路でありますと、そこを通って植物が伝わって行ったんじゃないかという事を考える人もいます。
 宮本常一という有名な民俗学の先生がいらっしゃいましたけれども、彼は大旅行家で日本各地を旅した方です。その方が、かつて中央構造線、中央構造線なんていう名前は知らなくて、古生層みたいな言い方をしていますけれども、そこを通ってその中央構造線の沿線に非常にトウモロコシが植えられているのを見てビックリしまして、四国山中でも見かけるし、どこにでもあると、もしかしたら、トウモロコシというのは外国から九州へまず入ってきて、九州から中央構造線に沿って東へ東へと移って来たのではないか、栽培されていったのではないかということを言っています。


南北朝と中央構造線
 それから、熊本出身の谷川健一さんという有名な民俗学の先生がいますけれども、私も非常に影響を受けました。私の出発点は、一つが、谷川さんが中央構造線は移動の大ルートだということをおっしゃってた事が私の出発点の一つでございます。谷川さん、まだ短いものしか書いていませんけども、その中央構造線を通ってですね、九州の南北朝というのがかつてありました、南北朝の争乱鎌倉時代の後、後醍醐天皇が吉野を拠点にして、自分の皇子(みこ=息子)たちを配置していく訳ですけども、九州の熊本の菊池にはご存知の通り懐良親王(カネヨシシンノウ)、私ども信州ではナガと呼ぶものですからカネナガシンノウと私は呼んでますけども、皆さんにはカネヨシシンノウだと思います。九州の菊池に懐良親王がいました。それから、四国にはですね、やはり、中央構造線上と言われていますけども、満良(みつよし)親王というのを配置しました。で、本人の後醍醐天皇が吉野、これはまさに中央構造線上ですけどもそこにいた。で、私どもの伊那谷、正確にいうと遠山谷というんですけども、遠山谷にはさっきの大鹿村、中央構造線博物館がある、あの村ですけども、そこには、宗良親王という皇子を配置しました。
 かつて皆んな山の中に逃げ込んだんだと、そういうふうに解釈されてました。ところがどうもそうじゃなくてこの中央構造線というのが今、新太平洋軸として注目されているような移動の大ルートであったならば、一種の高速道路の上に皇子たちを、自分の息子たちを配置して情報収集をしていたというふうにも考えられる訳です。
 そういうことからも、今、中央構造線に関心を持って調べています。それから、中央構造線の沿線にある金属の資源ですね、四国の水銀地帯は非常に有名ですけれども、そういったことにも関心を持ち調べています。


地球環境を考える新たな視座
 最後に締めと致しまして、今、巨大断層聖なる地という本を執筆している訳ですけども、その中で、本当に感じることは、次のようなことです。私は、断層を通じて今、地球の成り立ちから足早に考えてきました。地球というのが46億年前に生まれて、磁気が生まれ、磁気圏のお陰で26億年前に地球のダイナモのスイッチが入って非常に強い磁気を浴びることになって、それからおかげでもって太陽からくるような放射線がこのバンアレン帯を中心とする磁気圏でもってカットされ、このおかげでもって生命が地上に進出出来るようになった。もう一つは、当然酸素が出来て、ストロマトライトみたいなああいった海中のですね鉄のバクテリアが繁茂した、そのおかげで酸素がどんどん空中に放射されて大気圏が出来た。
 いまオゾン層の破壊と言う事がいわれてますけれどもオゾン層というのは、私も今回本格的に少し調べて驚いたんですけれども、厚さがわずか3ミリしかないというんですね。で、そのオゾン層に北極だとか南極だとか極地でもって、穴があいていることが最近確認されてきた。
 地球は、生命体だといいましたけれども、そうした地球が非常な危機に陥っている。そういったことを断層、中央構造線というのをきっかけにして、大地の気だとか、地磁気だとかそういったことをながめていると、ヒシヒシと感じるわけです。それこそ今、次の世代の子ども達に伝えるべきであると思っています。地球がどういうふうに出来てですね、われわれが、どこから誕生して、何のお陰でもって、この地球上で生きられてきたか、その情報を子供達に伝える必要があると思います。
 私は47歳の独身で、自分の子どもはいませんけども、これから、色んな形でもってこの情報を伝えて行きたいと思っています。中央構造線という断層を考える事によってそういったことを本当に感じるようになったと、今、感謝しています。


反転する地磁気
 それから、昔はですね、小説書き始めた時は目に見える物ばかりこだわっていまして、目に見えないものは絶対信じなかったです。私も一応ですね、こう言っていても戦後の世代ですから科学とかそういったものの教育を受けまして、昔、子どもの頃は、学研の科学の本の愛読者の一人だったものですから、一応、基本というのは科学の教育を受けているものですから、目に見えない世界とか大地の気なんていうものはつい最近まで全く信じていませんでした。
 そういった目に見えない世界の事に非常に関心を持ち、そんな事も私の今の成果、大きな到達点だと思っています。ようやく、人生の出発点に立ったような気がしてきまして、良いものを与えて頂いたと、そのお陰ではるばると九州まで呼んで頂きまして皆様の前でお話が出来ると、それからこういった山北先生みたいな専門家の方と情報交換が出来るというのは本当に有り難い事だと思っています。
 地球は磁気のある惑星なんですけども、この磁気が今減っているんです。100年間に5%と言いましたね、地磁気が減っています。それから、地磁気の逆転現象もあります。これは、過去360万年に少なくとも9回の地磁気の反転があったと言われています。
 地磁気が反転するという事はどういう事かと言いますと、北極と南極が入れ替わる訳です。後、2000年位すると地磁気の反転があるという説があるんです。
 いろいろ学説がありまして、太陽は12年周期で地磁気の反転があるようなんですけども地球の場合は非常に不規則でして、過去にも不規則に起きていたし、今、2000年後という説があるんですけども、この地磁気の反転が起きた時に一時的に磁気が、一時的というのは私も解りません。科学者でそれをはっきり書いて下さっている方は、私が読んだ限りではまだ居ませんけれども、一時的に地球上の磁気がゼロになるというのです。
 そうすると、何が起きるかと言うと、さっき言った太陽から来るような放射線がまともに降りかかって来る訳です。その時に何が起きるか、もしかしたらそれが恐竜の絶滅の原因、さっきも隕石が地球に落ちてその為に恐竜が絶滅したという、これが非常に今の定説というか、よく言われる説なんですけれども、地磁気説もありまして、地磁気が消えたために恐竜が滅んだのではないか、あるいは、もしかしたらそれが生物の大進化のきっかけになるという説もあります。ですから、滅ぶ物もあるでしょうし、大進化する物もあるかも知れません。
磁気というのはそういうのがあるようです。


ゼロ磁場と大地の気
 それからさっきの分杭峠の話の気の場のエネルギーですけども、気というのはまだ解らないですけども、何かがあるのは事実です。私自身もそれを非常に感じてますし、感じ方もだいぶ進歩してきました。
 その中の説の一つにゼロ磁場がありまして、これは、佐々木茂美さんという電気通信大学の名誉教授の方ががおっしゃっているんですけども、断層で押し合っている為に磁場がゼロになって一時的なゼロ磁場というのが出来てくるんじゃないかと、それが、大地のエネルギーの原因ではないかと、マイナスイオンも関係していると、そんな事をおっしゃっています。
 これは実は、佐々木茂美先生だけと言う感じが今のところありまして、まだ説得力がないんですけども、そういう考え方もありまして、特に私も磁場というものを切り口にしてこの大地の気というのを今考えているということです。以上です。有り難うございました。(拍手)